2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03924
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (30127972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥飼 宏之 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (50431432)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 津波火災 / 防災 / 燃え拡がり / 液体燃料 / 流れの可視化 / 拡散火炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,東日本大震災で発生した津波火災における火炎の燃え拡がりメカニズムを解明することにある.平成28年度は,2つの実験を行った.1つは,静止した水の上に液体燃料(ケロシン)を浮かべ,その燃料表面上を火炎が伝播する場合の液相内の流れの可視化(シートレーザ法)および温度境界層の可視化(シャドウグラフ法)を行った.このとき,比較のために液体燃料(ケロシン)単相における燃え拡がりでも,同様の可視化実験を行った.また,この実験では燃料厚みを5-15 mmまで変化させた.実験結果として,水の上に液体燃料が浮いている場合,燃え拡がり速度は燃料単相に比べて燃料層厚みによらず常に小さな値を示した.また,火炎基部直下の液相内の流れの特性深さそして火炎基部先端から伝播方向における液相内の温度境界層の先端までの長さを表す温度特性長さの両方が,液体燃料単相の場合よりも大きい値を示すことがわかった.もう1つは,液体燃料(ケロシン)が単相で流れている状態で,流れに対向する形で伝播する対向流燃え拡がりと流れと並行方向に燃え拡がる,並行流燃え拡がりの実験を行った.ただし,燃料厚みは5 mmとし,液体燃料の流れの速度を8 mm/s-37 mm/sの範囲で変化させた.その結果,対向流の場合,20 mm/s以下では,燃え拡がり速度はほぼ一定の値を示した.他方,20 mm/sより燃料流の速度が大きいと,燃え拡がり速度は大きく低下し,火炎先端が流れの方向に押し流された.並行流の場合,20 mm/sより流れの速度が小さい場合,燃え拡がり速度は,燃料相が静止している状態での燃え拡がり速度に燃料流の速度を加えたものとなった.他方,20 mm/s以上では,燃え拡がり速度は静止状態の燃え拡がり速度よりも大きな値で流れる燃料上を伝播することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水流風洞は完成し,平成28年度は最も簡単な条件である燃料単相流での燃え拡がり実験を行った.そして,燃料流れと燃え拡がり方向が同一の場合の並行流燃え拡がり,そして逆の条件となる対向流燃え拡がりでの燃え拡がり速度測定に成功している.更に,静止状態における水に浮遊した液体燃料上の燃え拡がり時における液相内の流れの可視化そしてPIVソフトウェアを用いたベクトルマップの算出,そしてシャドウグラフ法を用いた温度境界層の可視化にも成功している.この様に,研究は着実に進行し,成果の発表も順調に行っている。以上を踏まえて,本研究の現状を『(2)おおむね順調に進展している』とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,引き続き燃料単相流れ上の火炎の燃え拡がり実験を行い,液体燃料中の流れの可視化そして温度境界層の可視化を行う.そして,液体燃料単相流れの場合の火炎の燃え拡がり機構について解明する.更に,水流上に液体燃料が浮遊した場合の実験にも着手し,燃え拡がりデータの収集を行う.
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Research Products
(5 results)