2016 Fiscal Year Annual Research Report
自己センシング機能を有する磁気粘弾性エラストマの開発と振動制御装置への適用
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15H03936
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小松崎 俊彦 金沢大学, 機械工学系, 教授 (80293372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 信 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (80166404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 制震 / 計測工学 / 機能性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,外部磁場の印加により見かけの粘弾性が変化する磁気粘弾性エラストマに,新しい機能として自己センシング能力を付与し,セミアクティブ防振マウントや同調型動吸振器に適用して,低コストかつ自己完結的な構造物の振動制御を実現することを目的とする.また,磁気粘弾性エラストマを受動型防振要素として利用した場合の歪み検出ソフトセンサへの応用可能性についても検証する. 平成28年度は,導通性確保のために,基質に磁性粒子を高い重量割合にて配向させるだけでは複合体の基礎剛性を必要以上に高めてしまい,磁気粘弾性エラストマの可変剛性幅が犠牲になる問題を解決するために,グラファイト粒子を磁性粒子とともに混合する場合の複合体の硬度,電気抵抗特性について評価を行った.その結果,再現よく導通性を確保できる材料組成を見出すことができたが,異種の無機材料を一様混合して,単一の成形過程によりエラストマを硬化させる方法では,上記と同様の問題は回避できないことが問題点として明らかとなった.センシング機能の付与と可変剛性幅維持との両立は引き続き検討が必要であり,成形方法の更なる改善が求められる. 一方,上記の問題を緩和する一つの手段として,可変剛性を受け持つ層と,主にセンシングを受け持つ層を分けて成形し積層化する方法を考案した.この方法によって積層型防振マウントを構成し,提案材料を制振装置に組み込み,可変剛性能を著しく損なうことなく,自己センシングが可能であることを実験的に示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一の材料に,単一の成形過程で導電性と可変剛性を同時に付与すること自体は可能であることを実験的に示したが,両特性をバランス良く発現させるための材料組成に関しては引き続き検討が必要である.その一方で,それぞれの機能を各々,別箇の成形方法にて作成したエラストマ内に発現させ,その後に両者を一体化する2段階の成形過程を踏むことで,可変剛性を著しく損なうことなくセンシング機能を両立させる手順を考案したことで,単一成形時の問題はある程度回避できることを示した点において,検討の遅れはカバーできたものと考えている.したがって,進捗状況の自己点検結果としては上記のとおり判定した.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況欄で述べた単一成形プロセスでの問題点に関しては,引き続きパターニング方法を見直すことで両機能のバランス向上に努める.十分満足できる結果が得られないようであれば,本年度前期が終了する時点で2段階成形への切り替えを見極めたい.制振装置応用については,基本となる部品はすでに作成済みであるので,提案材料の組み込みはスムーズに行えるものと考えている.さらに,ソフトセンサ応用に関しては,センシング機能のみに着目した成形に専念すれば良いため,実現は比較的容易と考えている.
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Research Products
(4 results)