2017 Fiscal Year Annual Research Report
超解像ベクトリアル偏光干渉レーザ顕微鏡による微粒子イメージング
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15H03945
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
江上 力 静岡大学, 工学部, 教授 (70262798)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レーザ顕微鏡 / 偏光干渉 / 微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに開発した顕微システムの空間分解能とCTF(Contrast Transfer Function)値を共にさらに一段向上する必要があった。スタートの二年間、この点に研究を特化して、同スペックの向上に取り組んできた。結果、入射光強度の応じて非線形的にCTFを向上させることが可能となった。また、29年度はさらに照射励起光を多波長化したシステム構築に取り組んだ。複数波長をシステムに導入するため、ベクトリアル干渉計における各種収差の低減にも注力した。また、等方性バックグラウンド領域からの散乱光プレスキャンにおいても、広い導入波長帯域において、ベクトル差分ゼロの条件をいかに機械的に決定することができるかがキーとなる同システムにおいて、大まかなラスタースキャンにより等方性領域をプレスキャンし、バックグランドバイアスを半自動的に取り除くことに成功した。 微粒子測定において、数百ナノメートルでのサンプル領域をスキャンするために、大まかなラスタースキャン用に三次元ピエゾステージを利用し、微小領域でのスキャン用にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを併用するシステムを開発した。光源のコヒーレンスの良さが逆にベクトリアル干渉のゼロサプレス効果に悪影響を及ぼしてしまうことが判明していたため、コヒーレンスの低いLDレーザ光源を用いて差分ベクトルゼロ推定も実施した。ところが逆に、MEMSミラーによって拡大ラスタースキャンを実施するためには、スキャンによる光学距離の僅かな変化が差分信号に大きく影響してしまうことも判明した。次年度は光源のコヒーレンスに対するトレードオフの関係をさらに詰めて、光源のより現実的な縦モード条件を算出する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多波長レーザ光源の導入に、思いのほか手間取っている。これまで通常の干渉計に多波長光源を導入する各種光学系はいろいろと設計してきた経験があったため、同システムの構築もそれほど障害になるとは予想していなかった。ところが、同システムは数十ナノメートルのコントラスト分解能を実現するために、光学系の光軸調整や焦点位置の調整も非常に繊細なファクタであり、励起光源を切り替える度に各種位置決め精度の確保が難題となっている。また、使用する各種光学部品のホルダ等にも相当の工夫が必要であり、高精度長期高安定なホルダの開発も部品メーカーに依頼している。最終年度の次年度でこの遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進歩状況にも記載したがこの三年間での遅れを取り戻すべく、微小散乱信号にジョーンズマトリックスモデルを適用し、実験値から理論解析のための逆問題をいかに正確に解くことができるかアルゴリズムの改良に更に取り組む。また、実際に微粒子内部、微粒子を取り巻くマトリックス部での異方性パラメータ(散乱電界強度、主軸傾き、および主軸・副軸間での位相差)の詳細な3次元解析を実施する。一方、励起用光源の多波長化に際しての各種光学系の収差低減等の最適化、位置決め精度の確保にも積極的に取り組む。 また、本課題の申請当初は散乱光の偏光解析にポアンカレ球を使用することを想定していたが、スキャンビーム焦点付近からの異方性散乱が非常に小さな信号となってしまうため、十分なゲインが得られない可能性も考慮し、自動回転偏光子による同解析を現在同時進行中で、こちらについては単波長での偏光解析に目途が立った状況である。
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Research Products
(3 results)