2015 Fiscal Year Annual Research Report
空気圧駆動インフレータブルロボットアーム実現のための基礎研究
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15H03952
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川村 貞夫 立命館大学, 理工学部, 教授 (20186141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田實 佳郎 関西大学, システム理工学部, 教授 (00282236)
河村 晃宏 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (60706555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロボットアーム / インフレータブル / 光弾性 / 柔軟軽量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリウレタンの光弾性特性を利用した力/接触センサ開発では,ポリウレタンの応力に対する感度が高く,機械的な固定方法が困難であった.この問題をインフレータブルリンク上に接着する方式で,一定の解決をみた.ポリウレタン利用の曲げセンサを開発では,曲げ角度が0度から90度程度までの計測を可能とした.力/接触センサおよび曲げセンサの両方について,発光源とポリウレタン,ポリウレタンと受光センサを光ファイバで連結するシステムを完成し,上記のセンサ特性を実験的に確認した. インフレータブルロボットアームとして,4自由度ロボットアームに2指(各2自由度)を有するシステムを実現した.これらは27年度JST主催イノベーションジャパンに展示して,マスコミ取材と企業からの共同研究の申込みがあった.また,シート形状から多自由度ロボットアームを容易に製作可能な設計製作法を開発し,特許申請を行った. ウレタンの光弾性(応力により誘起複屈折が発生)を使った小さく柔らかい物質(豆腐のような物質)をセンシングする手のひらのような二次元タッチセンサの試作を進めた.ウレタンの光弾性は数グラム重の荷重をダイオード型の簡単な光検出回路で可能にする.これをもとに本年度は一次元型のセンサを試作し,簡易なロボットアームに装着した.実験はセンサ材料を1cm角程度に切ったものを台座におき,このロボットアームを上下左右に駆動し,認識できるかを検討した結果,ウレタンの弾性率,光弾性を最適化することで,この実験に成功した. インフレータブル構造の形状シミュレーションにおいて,四角形,三角形など多様な形状の計算機シミュレーションが可能であることを確認した.また,実際の袋を3次元計測し,計算結果と比較検討した.さらに,共同研究者の三井化学の協力により,有限要素法解析との結果と比較し,本提案手法の優位性を明らかにできる段階にある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり順調に研究は進捗している.数か月に一度の頻度で,関西大学田實研,九州大学倉爪研(河村助教),三井化学との研究ミーティングによって,各課題の進捗の確認と相互情報交換を行っている.27年度はポリウレタン材料のセンサ利用の基礎解析と利用基礎技術開発を行った.インフレータブルロボットアームでは,耐久性を強化した新しいロボットアームを設計製作して,イノベーションジャパン,国際ロボット展,単独記者会見(立命館大学東京オフィス),大阪グランフロントナレッジキャピタル ロボティクス技術説明会などでデモンストレーションを行った.その結果,2社の企業との共同研究が進んでいる.また,高分子材料の業界誌からの依頼原稿,新聞取材等もあった. レディング大学(英国)の林研とは,装着型のリハビリ機器としての共同研究が進んでおり,リハビリテーション国際会議において発表している.オークランド大学(ニュージーランド)との国際ワークショップは9月7,8日に立命館大学で開催した.インフレータブルロボットアームの心理的なデータ解析等をまとめて,平成28年度のIEEE/RSJ主催国際会議ROMANに投稿中である. 産業界との共同研究は,材料開発と利用について三井化学㈱,インフレータブルロボットアームのエンターテイメント利用にはワヨー㈱と共同研究を実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
ポリウレタンの光弾性特性を利用した力/接触センサ開発では,固定方法の最適化,インフレータブルロボットへの装着方法,センサの利用法等を研究する.ウレタンの光弾性利用のタッチセンサでは,二次元計測を行う.これらの研究開発については,関西大学田實研,立命館大学川村研と三井化学の定期的なミーティングによって推進する. 27年度実現したポリウレタン利用の曲げセンサでは,曲げの方向について符号が認識できない.そこで,振動抑制用の積層型可変粘性要素に利用する方法を提案する.この方式では,速度の絶対値のみが必要となるので,曲げセンサを直接利用可能となる.また,符号の判断可能な方式を幾つか検討して,28年度には実現する予定である. インフレータブルロボットアームの形状設計法は,九州大学のシミュレーション結果を利用した方法と実験的経験に基づく方法などを検討し,従来よりも耐久性に優れたロボットアームの実現を図る.さらに耐久性については,三井化学等のメーカの積層構造や材料の工夫からの方策も検討する. 国際共同研究として,レディング大学の林研とリハビリ用の装着型上肢運動支援アームを開発する.インフレータブル構造でアクチュエータは負圧も利用可能な形状を新たに設計開発する.また,オークランド大学とは介護等の分野でのインフレータブルロボットの利用を検討する.これらの共同研究のために,川村研から28年度8月9月に大学院生を派遣し,海外インターンシップを実施して,共同研究を加速する.
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Research Products
(23 results)