2015 Fiscal Year Annual Research Report
高品質界面を有するSiC MOS反転層チャネル移動度の制約因子の解明
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15H03969
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
喜多 浩之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00343145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気・電子材料 / 半導体物性 / パワーデバイス / 移動度 / デバイスプロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで当研究グループで提案してきた高温熱酸化と酸化後の熱処理(POA)によって界面欠陥を低減する手法について,界面準位だけでなく,酸化膜中の界面近傍トラップ(NIT)を低減する効果を明らかにした。POAの温度と時間を最適化することによるNITの低減は低温下におけるキャパシタンス測定により明確に示された。この条件を用い,4H-SiC(0001)面上にMOSFETを形成したところ,ピーク移動度が~30cm2/Vsとなり,熱酸化だけで形成したMOS界面を持つ素子としては高い値が得られた。様々な熱処理の中でも特に水素処理を高温で適用したときに明確な移動度の向上効果が見出された。一方,移動度評価方法として,チャネルーゲート間のキャパシタンスからチャネル電荷を正確に推定した上で実効移動度を正確に推定する手法を検討した。界面欠陥の効果を避けて高周波キャパシタンス測定を行うには短チャネル素子が有用であるが,このとき寄生抵抗や寄生容量の影響が避けられない。そこでチャネル長の異なる2つの短チャネル素子の特性の差分から寄生成分を差し引いて評価する方法を適用した。この実効移動度に対する,前述の水素処理の効果を検討したところ,移動度が向上してもその温度依存性には変化がないことから支配的なキャリア散乱機構は同一のまま,移動度を制約する因子となっている欠陥密度が低減したことが示唆された。今後は,これらの手法を様々なMOSFETに対して適用しキャリア散乱機構の理解を進める計画である。その一方,ウェハの犠牲酸化と呼ばれる,熱酸化と酸化膜の化学エッチングを繰り返してウェハ表面の汚染層・ダメージ層を取り除くプロセスによるMOSFET移動度に与える影響を調査したところ,犠牲酸化量とともに移動度が漸減することが新たに判明した。この効果は従来より提唱されるキャリア散乱機構と並行して考慮が必要な重要な因子である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標としていた移動度評価用のMOSFETの形成技術の確立が順調に進行した。また温度依存性等の評価も予定通り開始できているため,速やかに次年度の計画へと移行できる。その一方で,当初の計画では想定していなかった移動度劣化効果が見いだされており,この点にも評価範囲を拡張するように研究体制を変更することが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,MOSFETの移動度評価について,種々の条件依存性を定量的に明らかにすることが主目的となる。その一方で,基板の加熱処理条件によっても移動度が変化する現象を見出している。この新規で重要な因子を明確化することを目的とした新規の実験,および解析・評価手法の検討を並行して行う予定である。
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Research Products
(14 results)