2019 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンMOS技術と整合性をもつスピン量子ビットとその大規模集積化
Project/Area Number |
15H04000
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大野 圭司 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (00302802)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン / 量子ビット / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続きTFET量子ビットの研究を行った。従来のAl-Nに加え、さらにBを素子チャネルへドープすることで、スピン閉鎖特性の歩留まりが大きく向上した。この素子構造は提案にあるスピン鎖量子カプラーの形成にも有利である。このような素子において、従来観測されていた2スピンのESRに加え、4スピンのESRを観測した。この結果はスピン閉鎖を担う2つの電子スピンの周辺にさらに2個の電子スピンが存在しており、電子スピン2個からなる“スピン鎖”とスピン閉鎖素子との結合系とみなすことができる。このような系の理解を深めることが提案にあるスピン鎖量子カプラーの実現につながるものと考える。提案では量子カプラーについては理論検討のみ行う予定であったが、理論検討たけでなくその予備的な実験を行うことができた。 また1つの核スピンを含むスピン閉鎖が観測された。電子・核磁気共鳴スペクトルについて、連携研究者であるGiavaras氏による理論計算との比較を進めた。実験で得られた電子スピン・核スピン結合系の磁気共鳴スペクトルを再現する結果が得られたものの、各スペクトルの強度・線幅に定量的な不一致がみられる。核スピン偏極の効果を取り入れたモデルで再現を試みている。この結果は提案にあげた核スピン自由度の利用につながる成果である。 さらに、昨年度に行った量子ビットの干渉効果実験を発展させた。ゲート電圧による量子ビットエネルギー変調に加え、量子ビットをドライブするマイクロ波周波数に変調を加えた。この実験は量子ビットで実装される量子熱サイクルのシミュレーション実験とみなすことができる。結果は論文にまとめられ、現在査読中である。 複数の国内・国際学会に招待されこれらの成果について講演を行った。またこれらの成果の解説記事が電子情報通信学会誌に掲載され、また日本物理学会誌に掲載が決まっている。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)