2017 Fiscal Year Annual Research Report
密集端末の連携によって実現するMassive MIMO最適伝送制御
Project/Area Number |
15H04007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 英一 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60252475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40452114)
梅原 大祐 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (50314258)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 移動体通信 / 先端的通信 / 情報通信工学 / 干渉キャンセル / 端末共同 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,伝送容量が特に求められる基地局から携帯端末への通信を対象に,周波数利用効率を画期的に高めうる近傍携帯端末での共同送受信を提案しその有効性をフィールド実験により実証する.現在のように内蔵アンテナ数が限られる小型携帯端末が個別に基地局と通信するのではなく,近傍携帯端末間で共同した信号送受信機能を実現し, MIMO伝送の持つ特徴であるアンテナ数に比例した周波数利用効率改善効果を最大限に獲得する.本研究では,このシナリオにおける最適伝送制御方式を解明するのみならず実フィールドにおいてその効果を実証することにも世界で初めて取り組むものである.
平成29年度では,理論的な検討をさらに進めるとともに,フィールド実験に向けて,無線送受信機の試験を経て伝送実験を行った.主な成果概要は以下の通りである. 特定実験試験局の免許により可能となったフィールド試験を行い,4x4構成ならびに4x6構成のダイナミックな切り替えの基礎となる車両内高周波数帯伝送特性の実測を行った.また,我々が発案し従来からその多方面への応用を検討している中から生じた,ヘルパー付き有損失中継(Multi-helper Lossy Forwarding)方式をマルチユーザ,マルチヘルパーの場合へ拡張するためのアルゴリズムを明らかにした.さらに,特性を表す理論式を導出し,最終目標である送信電力配分問題に種々の最適化アルゴリズムを適用することを可能とした.連携端末の受信フレーム転送方式として,量子化値転送方式と符号化転送方式を比較検証した.量子化値転送方式では無線リソースを大幅に削減でき,より多くの連携端末を収容可能であるため,符号化転送方式と比較して少ない無線リソースで受信フレームの信頼性が得られることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さらに詳細な車両内高周波数帯伝送特性を把握するため,車両窓にシールドを施すことやアンテナの固定方法を改善するなどの準備を進めている.また,レート領域,劣化場所率,ビット誤り率等の理論値を導出し,シミュレーションによって特性が理論値と一致すること,特に,N個のヘルパー中継局が存在する場合にはN+1次ダイバーシティー効果が得られることを確認した.理論値の導出には近似に依存する部分が存在するが,近似は物理現象に依存して行うものであり,厳密な表現との乖離が極めて少ないことをモンテカルロシミュレーションによって確認した.さらに,IEEE 802.11ベースのたたみ込み符号化OFDM変調方式に対して,与えられた基地局の送信アンテナ本数,グループ端末の連携端末数,および連携周波数帯の信号対雑音比における量子化転送方式のビット誤り率特性を計算機シミュレーションにより評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きダイバーシチオーダの解明とその伝送実験について準備を着実に進める. 最終段階であり,前年までに導出したそのアルゴリズムや特性の理論的表現を複数ユーザが存在する多周波混合方式(低周波数は長距離伝搬、高周波数は短距離伝搬用)マルチユーザMIMOへ適用することで基地局送信電力割り当てを最適化し,総送信電力の低減を図る.今までに明らかにされた伝送特性を参照値として,搭載アンテナ本数,連携周波帯無線インタフェースの有無,よび連携移動端末数が異なるヘテロジニアスセルラーネットワークにおいて,ユーザスループットの最小値が改善するような基地局の最適化伝送方式を確立する.
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Research Products
(20 results)