2015 Fiscal Year Annual Research Report
繊維補強コンクリートのひび割れ発生前の繊維の効果の定量化と耐久性設計への反映
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15H04024
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
國枝 稔 岐阜大学, 工学部, 教授 (60303509)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 繊維補強コンクリート / 繊維分布 / クリープ / リサイクル炭素繊維 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ひび割れ発生前の繊維補強コンクリート(FRC)の優位性を発掘するため,①統計的手法を用いたFRC中の短繊維の空間分布の評価,②FRCの圧縮クリープ試験,③繊維とマトリックスを用いたミクロクリープ試験,④リサイクル炭素繊維を利用したFRCの改質と防食への適用,について特に実験データの蓄積を目的に検討した. ①については,クリギングという手法を用いて,FRC内部の繊維本数をモデル化し,任意断面のFRC本数を推定する手法を構築した.サンプリング間隔が100mm程度であれば精度良く本数が推定できること,サンプリング間隔が300mmであっても,実用上の繊維本数が予測できる可能性があることを示した.今後は,小さなサンプリングから任意断面の繊維本数を予測する検討を行う必要がある. ②FRCの圧縮クリープ試験については,100x100x400mmの供試体を対象に圧縮クリープ試験を実施したところ,繊維の添加によりクリープが大きくなる実験データが得られた.既往の知見には,繊維の添加によって大きくなる場合と小さくなる場合が報告されていることから,試験体の作製方法や実験条件の精査を行い,引き続き実験データを蓄積する必要がある. ③については,セメントマトリックス中に短繊維を埋め込んだ供試体を用いて,FRC要素のミクロクリープ試験を実施し,実験データの蓄積を始めた.繊維とセメントペーストの相互作用が当該ミクロクリープ試験でも確認できたが,部材レベルとのリンクも含めて引き続きデータを取得する予定である. ④については,リサイクル炭素繊維を用いたFRCを作製し,基礎物性としての圧縮強度や曲げ強度を確認するとともに,鉄筋腐食への影響を確認することを目的に暴露試験を開始した.継続的に自然電位を測定し,その影響をモニタリング中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究項目について,おおむね実験データの取得を開始でき,2年目の研究が計画どおりに開始できる状況にある.得られた知見については,査読付の学術論文や口頭発表において公表するなど成果発表も進めている. 暴露実験のデータの妥当性については逐次検証していく必要があるが,いずれにせよデータの蓄積が重要である.
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Strategy for Future Research Activity |
①腐食ひび割れ発生と進展時のFRCの優位性と照査方法の確立,②ミクロクリープ実験,③FRCの解体性,に関する実験を実施する.①については,FRCのひび割れ発生メカニズムを明らかにし,さらには構造性能との関連について検証する.②については,昨年実験方法を開発し,データとして得られることが確認できたことから,データの蓄積によりその妥当性を検証する.③については,環境負荷低減の方策としての解体性について,著者らの既往の知見を裏付けるバックデータを取得する予定である.
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Research Products
(4 results)