2015 Fiscal Year Annual Research Report
震災時の避難行動モデルに基づくビッグデータ解析技術の構築
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15H04032
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
秦 康範 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (70360849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 直也 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任准教授 (30422405)
廣井 悠 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (50456141)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地震 / 防災 / 減災 / ビッグデータ / 避難 / 震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東日本大震災時の人や車両の移動に関するビッグデータと、既存のアンケート調査に基づく震災時行動において、その関係性を分析することにより、人々の震災行動を量的・質的に解釈可能なビッグデータ加工技術を開発する。具体的には、人の移動に関わるモバイル統計データ、車の移動に関わるプローブカーデータを取り上げ、災害時のビッグデータと災害時避難行動特性の類型化、ビッグデータを用いた震災行動パターン抽出モデルの構築、ビッグデータの有機的構造化手法を開発することを目的とする。 平成27年度は、下記の3つを行った。1.防災減災に活用可能な既存のビッグデータに関するヒアリング調査を実施した。その上で、モバイル統計データや携帯電話GPS情報に着目し、地理情報システム上にデータベース化し、災害時の人々の避難行動の類型化を検討した。2.災害時の人々の移動データのパターン分析・分類:人々の移動データのパターンを分析、分類を行った。3.ビッグデータの有機的構造化手法構築に向けた準備を行った。モバイル空間データやプローブカーデータ等の複数のビッグデータを有機的に構造化し、重ね合わせを行うとともに、ビックデータをアンケート調査データと統合する手法を検討した。 モバイル空間統計を活用して、2016年熊本地震における市町村を超える避難行動の実態把握を試みた.熊本県内居住者の人口は前震直前の4月14日を基準として、本震翌日の17日78千人減少していること、益城町内の益城町居住者の人口は、4月14日を基準として、前震後の15日2,250人減少、本震後の16日に4,640人と大きく減少していることが示された。本研究で示したのは、地震前後の人口変動の傾向である。実際に市町村外へ避難した延べ避難者数はさらに多いと考えられる。今まで把握されていなかった震災時の広域避難の実像に初めて迫る成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、ビッグデータに関する社会的な関心の増加により、防災減災に活用可能なデータを様々な企業や機関が取り扱うようになった。そのため、調査期間を5ヶ月延長し、企業4社を含めて8機関にヒアリング調査を実施し、最新の動向把握を行った。また、2016年4月に発生した熊本地震の避難状況を可視化するなど、事前に予期していなかった地震災害を研究対象として追加し、熊本地震時の避難行動について研究手法の有効性の検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は震災時の広域避難の実態を分析するために、移動データの分析の精緻化に加え、理由や手段を理解するためのアンケート調査の実施を組み合わせて分析するような手法の開発などを進めていき、ビッグデータの有機的構造化手法構築する予定である。
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Research Products
(4 results)