2016 Fiscal Year Annual Research Report
グライコブロッティングを利用した多糖の選択的除去による膜ファウリングの効率的抑制
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15H04063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 克輝 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10292054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 紳一郎 北海道大学, 先端生命科学研究院, 教授 (00183898)
山村 寛 中央大学, 理工学部, 准教授 (40515334)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膜ファウリング / 多糖 / 水処理 / LC-OCD |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討においてグライコブロッティング法を用いた新水処理材を試作し、実水道原水と下水処理プロセス(膜分離活性汚泥法、MBR)より採取した上澄み液を対象として除去性を検討した。本研究で開発をしようとしている処理方法により良好な除去が見込める多糖と、除去が見込めない多糖が存在することが示唆されている。用排水処理の有機物分析において多用されるLC-OCDでは多糖がバイオポリマー画分として一括検出される。本年度はLC-OCD分析の改良を行い、バイオポリマー画分をより細分化して分画することを試みるとともに、膜ファウリング発生に重要となるバイオポリマー画分について検討した。通常のLC-OCD分析では、バイオポリマーは分子量10,000Da以上の成分として一括検出されるが、本年度検討した改良LC-OCD分析ではバイオポリマー画分が非常に幅広い分子量を有する成分から構成されることが明らかになった。すなわち、バイオポリマー画分の中には分子量が1,000,000Daを超える超高分子量画分が存在する一方で、分子量10,000程度の画分も存在し、これらは水処理過程において異なる挙動を示すと考えられる。MF膜のファウリング発生に重要な関与をするのは分子量>1,000,000Daの超高分子量画分であることが示された。この超高分子量バイオポリマーの通常の水処理プロセスによる除去性は低く、膜ファウリング制御の困難さが示された。アルミニウム塩を用いた凝集では超高分子量バイオポリマーが一部除去されるが、イオン交換処理による除去はほとんど見込めないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グライコブロッティング法により除去しづらい多糖の存在が明らかになり、多糖のより細分化された分画が必要となった。多糖のより細かい分画には成功したが、分画された多糖それぞれの特性についてはほとんど知見がないため、通常の水処理プロセスにおける除去性、応答の検討に留まった。しかしながら、本研究で示された超高分子量バイオポリマー(多糖)の存在とこの画分の挙動把握は今後の膜ファウリング研究において極めて重要となる感触を得ているところである。当初計画の遂行はやや遅れる結果となっているが、今後も超高分子量バイオポリマーの存在を念頭においた研究の遂行が重要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
超高分子量バイオポリマー(多糖)が膜ファウリング制御において重要となることが示唆されているが、この画分の水中濃度は通常かなり低い(<0.05mg-C/L)ことが研究の遂行、特にグライコブロッティング法を利用した処理の検討を行うことを難しくしている。本年度は水中バイオポリマーを精製・濃縮するためのUF膜ろ過システムの構築を行い、大量にバイオポリマー試料を確保した実験を行う予定である。
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Research Products
(4 results)