2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換で発現した外套タンパクを用いた培養不可能なウイルスの浄水処理性の評価
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15H04064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松下 拓 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 佳彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00173790)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土木環境システム / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、凝集沈澱-砂ろ過処理を実施している全国の浄水場から原水(環境水)を送付していただき、ここに水系ヒト感染ウイルスであるアデノウイルス,コクサッキーウイルス,A型肝炎ウイルス,ヒトノロウイルスの代替として広く用いられているマウスノロウイルスと、水環境における水系感染症ウイルスの存在指標としての有効性が示唆されているトウガラシ微班ウイルスを同時添加して人工原水とし、これを用いて回分式凝集沈澱-砂ろ過実験を行うことにより、トウガラシ微班ウイルスの水系感染症ウイルスに対する代替指標としての有効性について議論した。その結果、PCR法にて評価したトウガラシ微班ウイルスの除去率とアデノウイルス,コクサッキーウイルス,A型肝炎ウイルス,マウスノロウイルスの除去率の間には高い相関関係が認められた。また、トウガラシ微班ウイルスの除去率は、水系ヒト感染ウイルスの除去率と同程度であったことから、トウガラシ微班ウイルスは,水系ヒト感染ウイルスの凝集沈澱-砂ろ過処理性を評価する上で有効な代替指標と成り得る可能性が示唆された。トウガラシ微斑ウイルスは、水道原水を含む環境水中にて、水系ヒト感染ウイルスよりも極めて高濃度に存在することが報告されている。本研究の成果より、浄水処理工程の各段階におけるトウガラシ微斑ウイルスの濃度を測定し、除去率を算定することにより、水系ヒト感染ウイルスの除去率(水道原水中や浄水処理工程ではあまりに低濃度であるため測定が極めて困難なためこれまでは除去率が分からなかった)を推定できる可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に提出した交付申請書に記載された実験計画では、A型肝炎ウイルスの評価のみを行う予定であったが、他の水系ヒト感染ウイルスの定量法も速やかに確立できたため、4つのウイルスをさらに追加して評価することができ、これらのウイルスに対するトウガラシ微斑ウイルスの指標性を実験的に示すことができたため、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
培養可能な水系ヒト感染ウイルスについては、凝集沈澱砂ろ過処理に加え、膜ろ過(あるいは凝集-膜ろ過)での水系ヒト感染ウイルスの処理性の評価と、大腸菌ファージやトウガラシ微斑ウイルスの指標性についての議論を行っていく予定である。また、培養不可能な水系ヒト感染ウイルスについては、ウイルス外套タンパク粒子(VLPs)の高感度な定量法を確立し、処理性評価へと繋げていく予定である。
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Research Products
(5 results)