2015 Fiscal Year Annual Research Report
水環境中の未知ウイルス発見のための選択的メタゲノム解析技術の開発
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15H04065
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Research Institution | 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所 |
Principal Investigator |
真砂 佳史 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所, サステイナビリティ高等研究所, リサーチフェロー (50507895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原本 英司 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (00401141)
久保田 健吾 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80455807)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウイルス / ゲノム / シーケンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は下水等の環境試料に存在する未同定ウイルスの解析を可能とする選択的メタケゲノム解析技術の開発である。この目的を達成するため平成27年度は,1.ウイルスゲノム群から検出対象ウイルスゲノムを選択的に回収する手法と,2.回収したウイルスゲノム全長を非特異的に増幅する手法の2つの技術開発における基礎的検討を行った。 1.では末端をビオチン修飾したプローブ(キャプチャープローブ)を検出対象ウイルスゲノムにハイブリダイゼーションさせ磁気ビーズで回収する手法である。キャプチャープローブの設計(対象ウイルスゲノムへの特異性と結合力),ハイブリダイゼーション条件(プローブ濃度,温度,バッファー,時間),および回収ビーズから非対象ウイルスゲノムを洗浄する方法について,各条件におけるモデルウイルス(ポリオウイルスワクチン株)の回収率から最適条件を決定した。プローブ設計ではキャプチャープローブに加えて4種のヘルパープローブ(キャプチャープローブの結合部位周辺に結合するプローブ)を加えることで回収率を顕著に上昇させることができた。さらに本手法を下水試料に適用したところ,対象ウイルスゲノムをその存在量によらず高い回収率で回収可能であったことから,様々なウイルスゲノムが存在する試料から対象ウイルスゲノムを効率的に回収する最適化手法の確立に成功したと言える。 2.について,回収したウイルスゲノムの全長を次世代シーケンシンサー(NGS)に供するための増幅手法を検討した。増幅方法として3手法を検討した結果,ランダムプライマーを用いてある決まった範囲の断片を増幅する手法がウイルスゲノムの全長をカバーし,かつNGSから得られる配列のクオリティーが高い最適な手法であった.なお,本検討ではNGSにGS Juniorシステムを使用したが,他のNGSにおいても同様の結果が得られると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では,テーマ1および2についての研究を主に進めることとしていた。テーマ1についてはプローブを用いたウイルスゲノム回収法について,モデルウイルスを用いた条件検討を行うこととしており,これは予定通り完了した。また開発した手法を採取した流入下水試料に対して試験し,十分な回収率を上げることができた。次にテーマ2については,ゲノム断片を非特異的に増幅する3つの手法を評価し,ランダムプライマーを用いて増幅する手法が最適であるという結果を得た。それぞれ研究計画に沿って進展しており,順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は順調に研究を進めることができた。平成28年度も同様に研究計画に従い,テーマ1および2の研究を中心に進める。また,テーマ3についても取り組む。 現状研究遂行上の問題は見られないが,今後実環境試料(流入下水など)に怪異初した手法を適用し,メタゲノム解析を行うにあたり,特にメタゲノム解析において想定していない結果が出る可能性は否定できない。これまでに収集したウイルスゲノムデータなどを参考に,効率的なウイルス同定についての手法を確立し,メタゲノム解析の結果が本研究の主目的である新規ウイルス同定技術開発に影響を与えないようにする。
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Research Products
(2 results)