2016 Fiscal Year Annual Research Report
現地需要に即した高付加価値化によって環境問題の複数同時解決を図る石炭灰リサイクル
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15H04067
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 史武 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00414376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌輝 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80252485)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 石炭灰 / 水分保持材 / リサイクル / 砂漠化防止 / 高付加価値化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、石炭灰の表面改質技術について検討を行った。前年度の成果からアパタイト処理の場合、P/Ca比によって水分保持能がことなること、土壌や砂中の有機物含有量にも水分保持能が影響を受けることを見出していることから、無機処理および有機処理の両者において検討を行った。 無機処理では炭酸ナトリウムや他の無機塩を添加して焼成処理を施した。二次鉱物生成による石炭灰表面の粗面化、石炭灰粒子の結合による多孔質構造の生成を期待したが、検討した実験条件では期待した結果を得ることは出来なった。翌年度も引き続き、他の添加剤等も含めて検討する予定である。 有機処理ではスターチやショ糖の炭水化物、セルロースやポリアクリル酸ナトリウム等の天然および人口高分子を添加して、焼成処理を施した。SEM観察では石炭灰表面の粗面化や石炭灰粒子の結合による多孔質構造の生成が部分的に成功しており、焼成処理をより低温化させるなどの検討を行う予定である。ただし、水分保持能の向上効果の点では当初狙ったレベルには至っておらず、多孔質構造の生成がそのまま水分保持能の向上に直結しているわけではないことに注意が必要である。 この視点から、本研究では従来の水分保持能の測定方法(圧力駆動の水分流出に対する抵抗性)ではなく、蒸発主体の水分流出に対する抵抗性で水分保持能を評価している。特に高温度域において、改質化石炭灰の添加による水分保持能への効果が測定方法によって異なる傾向を示しており、実フィールド実験による植生回復評価によって、どちらの測定方法の方がフィールド応用性が高いか検討する必要性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
石炭灰の改質による水分保持能の向上効果が、当初の目標レベルまでには達していない。この点では研究進捗が遅れており、改質処理の最適条件の探索を翌年度も実施して狙った研究成果を達成するようにしたい。 一方で、実フィールド実験(中国・内モンゴル自治区)について共同実験を開始する目途が立っており、それに向けた共同研究を開始している。これは当初の予定には入れておらず、研究期間終了後に狙ってた内容である。研究進捗の点で大いに前進している。 以上を勘案して、総括としては順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
石炭灰の改質による水分保持能の向上効果が当初の目標レベルまでには達していないため、改質処理の最適条件の探索を翌年度も実施して狙った研究成果を達成するようにしたい。 中国・内モンゴル自治区での実フィールド実験に向けて準備が進みつつあり、来年度中には開始して、水分保持能の向上効果とそれによる植生回復効果を評価していきたい。
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Research Products
(16 results)