2015 Fiscal Year Annual Research Report
ノンスカラップ工法による現場型柱梁溶接接合部の変形能力向上に関する破壊力学的研究
Project/Area Number |
15H04082
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中込 忠男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60111671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 洋文 信州大学, 工学部, 教授 (30426580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 現場溶接接合形式 / 現場ノンスカラップ / フィレット残しスカラップ / 鋼板挿入ノンスカラップ / 塑性変形能力 / 破壊性状 / 破壊力学 / SN490B鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋼構造建築物の高層化、大スパン化に伴い、柱梁溶接接合部の現場溶接が必要となってきている。柱梁溶接接合部は工場溶接接合形式と現場溶接接合形式に大別され、大断面材を実施工で鋼構造建築物の梁材として用いる際、輸送の困難さやコストを削減するため、その大部分が現場溶接接合形式となる。しかし、1995年兵庫県南部地震で散見されたように、現場溶接接合形式はスカラップ底及び溶接部からの早期破断が危惧されている。現在、現場型柱梁溶接接合部の研究は少なく、必要保有性能を確保する方法は確立されていない。そこで次のような実大柱梁溶接部破壊実験を行った。 試験体は柱梁接合部をモデル化した実大ト形試験体とした。実験パラメータは、梁材としてロールHを用い、従来型の現場溶接1体、現場型在来と同じであるがボルト接合せずに溶接接合したもの、鋼片を挿入することによってノンスカラップ化した試験体でウェブをボルト接合したものと溶接接合したものの2種類、梁材のフィレットをスカラップの部位において5mm残したものと10mm残したもの、スカラップの大きさを小さくしたミニスカラップ工法で梁フランジを溶接した後ミニスカラップを溶接充填した試験体で欠陥の位置を2種類変えた試験体を用いた。合計8種類の試験体で破壊実験を行った。 その結果、フィレット部を5mm残した試験体と、鋼片挿入しウェブをボルト接合した試験体、ミニスカラップにし梁フランジを溶接した後ミニスカラップを溶接充填した試験体の3種類の試験体は、従来型現場溶接試験体に比べて圧倒的に大きな変形能力となった。 その3種類のディテールを実施工に使えるように論文発表などをしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り実大ト形破壊実験を行った。その結果、工夫したディテールを用いた試験体は従来のディテールに比べて十分な変形能力があることが示された。データ整理などを行った結果、工夫したディテールを用いた試験体は応力集中や歪が小さいことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
素材試験を行い、それに基づいた有限要素法弾塑性解析を行い、破壊力学パラメータに基づいて工夫している試験体で変形能力が増大する根拠を理論的に明らかにする予定である。
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