2015 Fiscal Year Annual Research Report
シュリンキングシティにおける空間変化と計画的対応策の日米欧比較研究と提案
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15H04105
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
海道 清信 名城大学, 都市情報学部, 教授 (80278332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 友彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40283494)
服部 圭郎 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90366906)
松行 美帆子 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (90398909)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シュリンキングシティ / 人口減少 / 空き地 / 空き家バンク / 国際比較 / アメリカ / ドイツ / ランドバンク |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究会の開催:研究代表者、分担者、協力者が参加し3回開催した。3月にドイツ・ライプチヒのUFZ研究所で、学術雑誌Citiesに掲載をめざす国際共同論文を主テーマに、海道・服部・吉田と研究協力者のドイツの研究者が参加して、議論した。 2.日欧米の研究と議論の比較考察:シュリンキングシティのディスコース分析についてのドイツ・アメリカ・日本の比較分析をテーマに、国際共同論文の執筆を進めた。日本については、政策、学術研究、論説を時代別に分析して、解析軸としてConditions, Policy, Actionを設定し、人口減少要因-人口構造のひずみ、経済的衰退、空間的な要因-の日本における状況の解析を進め、ドイツやアメリカと比較した日本的な特性を明らかにすることができた。 3.都市圏単位の空間構造変化の日欧米比較:中部8県の全市町村を対象に長期的な人口変化の特徴を解析した。アメリカの都市圏単位のアーバンシュリンケージの統計解析を行い論文としてまとめた。アメリカ現地調査(ピッツバーグ、ヤングスタウン)、ドイツ現地調査(ライプチッヒ)で、シュリンキングシティの基本的な特性、空間変化を把握することができた。 4.空き家・空き地実態と対応方策・ローカルガバナンスの考察:関西を対象にGISデータによる空き地分布調査、輪島市、七尾市の空き家空き地の現地実態調査、可児市桜ヶ丘ハイツで空き地空き家と住環境意識の住民アンケート調査を実施した。防災建築街区造成事業によって整備された防災共同ビルの実態を、犬山市、藤沢市、厚木市、氷見市を対象に現地調査した。金沢市、長岡市、鶴岡市、竹田市を訪問して空き家問題と空き家バンク制度の運用状況、成果と課題について調査した。 5.アーバンシュリンケージへの対応策の比較考察:国内は空き家バンク、アメリカはランドバンク、ドイツはライプチッヒなどの対応策などを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していた下記項目について、概ね順調に進めることができた。 1.空き家・空き地実態調査と利用活用マネージメントの検討:関西圏、中部圏において、GISを用いて空き地分布を把握する作業を行い、長期未成団地の所在、規模などについての基本的なデータを取得できた。可児市住民アンケート調査を実施し、居住形態やリフォームなどと定住意識との関連性などを明らかにした。犬山市下本町防災共同ビルのリノベーション提案の作成と展示、専門家などとの交流を行い、氷見市など類似地区の現地調査を行った。空き家バンク制度の運用状況を調査し、効果的な運用のあり方について考察した。アメリカのランドバンク制度を調査し論文としてまとめた 2.アーバンシュリンケージに関する議論の整理と日欧米比較研究の枠組みの検討:日本、ドイツ、アメリカにおけるシュリンキングシティのディスコース分析と総合的な比較考察をテーマにした英文論文を作成し、学術雑誌Cities の掲載に向けて取り組んだ。当該論文では、日独米のシュリンキングシティの特性の比較考察の枠組みを設定することができた。ドイツで研究会を開催するなど海外協力研究者との討議を進めることができた。日本におけるシュリンキングシティに関わる学術、政策、社会的な論説の時間軸、地域軸、課題軸などによる整理ができた。 3.海外現地調査:ドイツでの研究集会と関連させて、ライプチッヒで関係者インタビュー、空間実態、対応施策などを調査した。同じくイタリアのトリノ、アメリカのヤングスタウン、ピッツバーグを訪問調査した。 4.統計解析:2015年の最新の国勢調査速報値を収集整理した。中部圏における長期的な市町村単位の統計データ(国勢調査)を用いて、人口減少の特性を解析することができた。米欧データの収集整理などの準備作業を行った。アメリカのシュリンキングシティの統計解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は調査研究活動の2年目として引き続き、当初計画に基づき着実に進める。 ・アーバンシュリンケージに関する日米欧の議論の比較考察と研究集会:国内分担者、協力者との研究会、海外研究者との研究会を数回開催する。直接あるいはメールなどで海外研究者と意見交換を継続する。アーバンシュリンケージ・ディスコース分析の国際比較英語論文を仕上げ海外ジャーナルに掲載できるようにする。シュリンキングシティを巡る論点について有識者などと意見交換して、論点を深める。海外での研究集会に参加し研究者との議論を進める。研究成果を著作、学会発表などで随時社会的に公開する。 ・シュリンキングシティの統計解析による国際比較:日本の国勢調査の長期データ解析を進め、人口減少都市の特性を解析する。独米のシュリンキングシティの統計解析との比較を進め、日本における都市、地域の人口減少の特性を世界の文脈のなかで考察する。 ・人口減少都市における政策的、計画的対応の把握と比較:人口減少都市の計画文書、関係論文などを収集し、必要に応じて政策担当者と面接するなどして、政策的計画的対応を分析する。日本では、都市計画マスタープランや立地適正化計画、空き家バンク制度、防災共同ビル等ストック活用など多面的な対応方策を考察する。アメリカにおいては引き続き、空き家対策、ランドバンクなどの政策的対応と効果などについて解析する。 ・人口減少都市・地域の現地調査:秋に予定されているエアフルト大学グロスマン教授と学生たちによるシュリンキングシティの日本調査に協力し意見交換する。典型的な人口減少都市・地域の現地調査によって、人口減少に伴う空間変化と課題・可能性について考察する。アメリカ、ドイツなどのシュリンキングシティの現地調査を行う。
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Research Products
(12 results)