2016 Fiscal Year Annual Research Report
フィガリアの実測調査に基づいたギリシア古代城壁と都市の立地に関する研究
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15H04107
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 重剛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (50159878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 明純 室蘭工業大学, 工学研究科, 助教 (00344549)
勝又 俊雄 女子美術大学, 芸術学部, 教授(移行) (70224475)
岡田 保良 国士舘大学, 付置研究所, 教授 (90115808)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古代ギリシア / フィガリア / 城壁 / 城門 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィガリアの城壁について、研究代表者の伊藤は2016年夏の2週間、アテネにあるドイツ考古学研究所に出張し、フィガリアの城壁に関する関連研究について、文献を探索した。これにより、19世紀の前半にフランスの調査隊がギリシアの古代遺跡を一般調査したときに、フィガリアについても調査し、図面まで作成していることが、新しく判明した。図面は周辺の状況と、その中で城壁がどのような形状で、どのような城門や塔がついていたかを示しており、熊本大学の調査隊が作成した図面と比べ精度において劣るが、近代での最初の調査報告として貴重であり、まだ詳細な検討を行なっていないが、今後熊大の図面と比較して研究を進めていきたい。 研究分担者の岡田は、城壁の工法について、中近東の城壁との比較において、いくつかの講演を行なった。 勝又は、フィガリアにおいて発見されている2つの城門について、紀元2世紀のローマの旅行家パウサニアスによるフィガリアに関する記述と、現状で発見されているフィガリアの城壁や城門の状況と照らしあわせ、彼のフィガリアに関する記述の正当性について検討を加えた。同じく武田は、トルコの南西部にある遺跡カウノスの磨崖墓について、墓の遺構と周囲の岩盤とのつながりが、どのような構造的特性に基づくものか、察を加え、古代建築の研究に新しい視点を与えた。今後例えばフィガリアで発見されている家型墓など、他の事例にも検討を加え、構造的な観点から遺構を研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はほぼ順調に進行しているといえるが、研究代表者である熊本大学の伊藤が、2016年4月の熊本地震により、大学の研究室および自宅でも被害を受けたことと、それによる地震調査等に時間をとられ、研究に多少の遅れが見られる。とはいえ、現地調査もアテネのドイツ考古学研究所への出張も順調に済み、研究発表までには至らなかったものの、一定の成果を上げることができた。また、勝又による文献学的な研究もある程度進んでおり、考古学的なモノの面からと文献学的な面からのそれぞれの成果を、あげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本科研費の最終年度であり、見逃している点、および検討が必要な点について、皆で議論し、できるだけ完璧な研究をめざす。伊藤は代表者として、研究の全体を見直しながら、我々が作成したフィガリアの地勢図、地形図、城壁の平面図、立面図などを精査して、フィガリア遺跡の考古学的、建築的特徴を明らかにしていきたい。そしてこの3年で得た研究結果を、一旦中間報告書の形でフィガリアの城壁の調査結果としてまとめたい。
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Research Products
(6 results)