2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04110
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
高橋 康夫 花園大学, 文学部, 教授 (60026284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨島 義幸 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80319037)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本都市史 / アジア都市史 / ヨーロッパ都市史 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市性を規定する三つの関係性、すなわち① 生活の安全との関係:都市を防禦し、人と物の流れを制御する都市壁の意義と象徴性、② 国家・都市統治との関係:政治・行政・軍事・宗教の様態、都市機能の配置(集中と分散)、③ 自然との関係:自然の征服と共存、対立と補完、都市内の自然と人工を視軸として、以下の課題に取り組んだ。 1.日本・琉球中世都市の都市性――〈無囲郭・拠点散在・風景都市〉の定式化 本研究の基盤として3つの関係性の視軸の意義を検討しつつ中世日本・琉球の都市性を〈風景都市〉と考定する作業を実施した。 2.東アジア中世都市の都市性――〈都市壁・集中・人工都市〉と〈無囲郭・拠点散在・風景都市〉の探求 中世中国・朝鮮の都市性を〈囲郭都市〉と考定する作業を実施した。 3.ユーラシア中世都市の都市性――普遍性と固有性の検証 南アジア・西アジア・ヨーロッパの都市性を〈囲郭都市〉と考定する作業を実施した。都市壁をもつ典型的な都市としてとくにスイス中世都市を検討した。他方、無囲郭都市や拠点散在都市、風景都市と捉えるべきユーラシア中世都市の事例を把握する作業を行った。 4.ユーラシアのなかの日本中世都市――普遍性と固有性の検証、都市史的な定位 比較都市史的検討を通して〈風景都市〉の普遍性と固有性を明らかにし、ユーラシア中世世界のなかに〈風景都市〉、日本・琉球の中世都市を位置付ける作業を試みた。 研究会を2回開催して「古琉球における都市形成――中世都市と宗教・信仰」、「松川二十五菩薩像」、「沖縄の異界(聖なる空間)」、「玉陵――首里の都市形成 都市・宗教・信仰」、「沖縄の墓と祖先信仰」、などの発表、討論、情報交換を行い、また現地視察調査を2回、それぞれ「奥州平泉における都市形成」、「古琉球における都市形成」をテーマとして行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 研究分担者・研究協力者の参加を得て実施した研究会により、いっそう広い知見や展望をもつことができたこと。 ② 古琉球の信仰とグスク(城郭と聖地)の関係、さらに葬制と王陵と都市の関係から、都市と信仰・聖地のかかわり、王都首里の形成への見通しを得ることができたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究実施計画に基づいて着実に進めるが、とくに都市と聖地の関係性について、特徴的な事例である古琉球の首里・那覇などをユーラシア中世世界のなかで捉える作業を継続して行いたい。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点などはない。
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Research Products
(4 results)