2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04119
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 儀宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50442728)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガラス / 結晶化 / 蓄熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,潜熱・顕熱蓄熱に基づく熱貯蔵によりエネルギーの空間的・時間的ミスマッチを解消する均質性・大規模合成に優れたガラスベースの熱マネージメント材料の開発を目指すものである.大規模蓄熱および熱エネルギー輸送を可能にする固体材料を意図し,材料的自由度の高いガラス物質中に蓄熱効果の高い結晶を包含させた複合材料を作製することで,耐久性・生産性の優れた環境調和型熱マネージメントの包括的研究に挑戦する.以下に得られた主な成果を記す.
1)4価のバナジウムイオン(V4+)から成るVO2はMott転移に基づく高い蓄熱性能を有する.VO2を主成分とする新規ガラス組成を見出した.得られた試料のガラス転移温度は酸化物ガラスでありながら非常に低く(250℃程度),化学的安定性が高いことから,蓄熱材料への利用に好適である. 2)本研究で得られたVO2-B2O3系ガラスの結晶化挙動を詳細に調査した結果,V2O5およびV4+を含むV3O7相の形成を確認し,特に後者の結晶において緻密なナノ結晶組織を有する結晶化ガラスの創製に成功した. 3)還元溶融によるガラス合成を実施し,V3O7相よりもV4+を高含有するV4O9相の結晶化を確認した.還元条件の最適化することで,蓄熱性VO2結晶化ガラスの可能性を見出した.また,ガラスバッチへの炭素および窒化ホウ素添加が還元剤として有効であることを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先に示した研究成果は,ナノサイズの蓄熱性VO2が析出した結晶化ガラス創製が実現可能であることを示しており,前駆体ガラスおよび結晶化ガラスの作製プロセをより詳細に検討することで十分達成できるものと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
蓄熱性結晶分散したガラス/結晶化ガラスの創製を継続するとともに,得られた試料の蓄熱機能を確認および構造評価を実施する.
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Research Products
(8 results)