2015 Fiscal Year Annual Research Report
母材を大幅に凌ぐ高強度・高延性継手を達成するツールレス新規摩擦接合技術の確立
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15H04133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 英俊 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (00247230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上路 林太郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (80380145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接合 / ものづくり / 強加工 / 組織制御 / 母材破断 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究所に既存の摩擦圧接装置を活用し、液体CO2を用いた冷却機構を組み合わせることで、界面近傍に強ひずみ加工を付与することを可能とし、日本発新規摩擦接合法の基礎となる技術を開発した。接合パラメータの最適化および液体CO2による冷却方法の最適化を行った。制御方式としてはブレーキ式、摩擦時間の制御方法は時間制御および変位制御とした。継手の微細組織の観察や硬度分布などの機械的特性の評価によって、最適化を行った。尚、液体CO2は液体N2と比較すると温度は高いが、比熱が大きく冷却能が高い。また、液体N2を用いる場合のような気体の発生による冷却能が低下の問題が生じない。 一方で、オーステナイトを室温で残留させる条件を求めるため、C量およびMo量を変化させたFe-C-Mo鋼について検討し、それぞれの鋼材のCCT線図を作成し、冷却速度と組織に関する基礎的データを取得した。本研究では、オーステナイトを室温で残留させるためには、以下の2つの条件を同時に満たす必要がある。加工による転位密度が増大によってオーステナイトが安定化する一方で、転位密度が増加すると、拡散変態も促進され、すなわち、ノーズが左側へシフトする。したがって、Mo等の元素によって、ノーズを右側へシフトさせ、フェライト/ベイナイトの生成を抑制するか、冷却速度を増大さえる必要があった。 既存の熱履歴再現試験装置を用いて、本年度は、ひずみを付与しない条件で上述の鋼材の冷却曲線を作成した。温度は、まずは以下の条件で設定した。①5℃/secで1000℃まで昇温、②5分間1000℃で保持、③一定の速度で冷却(冷却速度に応じてHe冷却を使用)。冷却速度は0.1℃/sec~100℃/secの範囲の8条件で行い、冷却中の試験片の温度と長さの変化を記録し、CCT線図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた新規摩擦攪拌接合技術の開発を行うとともに、平成30年度に予定していた線形摩擦接合技術にもその手法を一部展開した。
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Strategy for Future Research Activity |
界面部におけるオーステナイトの安定化を目指して、摩擦圧力、アップセット圧力、摩擦時間、回転速度などの接合パラメータの最適化、液体CO2による冷却方法の最適化を試みる。制御方式としてはブレーキ式、摩擦時間の制御方法は時間制御または寄りしろ制御とする。微細組織、硬度分布等の機械的特性によって継手の評価を行う。 まずは、オーステナイトの安定化が生じにくいと考えられるC量の少ない鋼材を用いて、界面近傍の組織を観察することにより、液体CO2による冷却によって、界面近傍にまで十分に強ひずみ加工が施されていることを検討し、新規接合法(接合技術Ⅰ)の有効性について確認する。 次に、鋼の組成、最高到達温度および冷却速度を変化させ、接合を行い、XRD、TEM、EBSDを用いて接合部の残留オーステナイトの有無あるいは比率を測定する。継手の機械的特性も併せて測定し、条件依存性のマップを作成する。これにより、引張強度と伸びがともに優れた特性を得ることができる。
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Research Products
(4 results)