2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール制御によるナノワイヤー熱電変換素子の巨大ゼーベック効果発現と機構解明
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15H04142
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助教 (20260515)
中村 浩章 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)
村田 正行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境領域省エネルギー研究部門, 研究員 (80717695)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノワイヤー / 熱電変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ファイバー作製技術を応用・発展させ、内径がナノスケール,外径が1mm程度の石英ガラステンプレートと呼ばれる鋳型を作製する。真空中で石英テンプレート共に370℃で液化した高純度Bi材料を、外部からアルゴンガスの圧力(~100MPa)を導入してテンプレート中に圧入する(圧入法)。Biを結晶化させるために室温に戻しBiインゴットからテンプレートを取り出し、成形することによってナノワイヤー熱電変換素子を作製していく。これまでに実績のあるワイヤー直径160nmから、Biの半金属-半導体転移が期待できるワイヤー直径50nm、さらにはワイヤー直径20nmを目指した素子作製を目指す。 ゼーベック係数測定を行うには、ワイヤー端部への電極接合が必要である。従来はワイヤー端部を鏡面研磨し、スパッタリングによる表面酸化膜除去,金属電極膜の成膜によって導通を得てきた。石英テンプレート外径1mm、ナノワイヤー直径100nm程度では、材料の硬度差からBiが選択的に削られ導通が得られなくなるため、新しい研磨技術を確立する。これまでの検討で研磨時の圧力が重要な要因であることを突き止めており、圧力制御できる研磨手法を採用し、端部への電極形成を行っていく。 1mm以上の長さを有し、且つ量子化が顕著になるワイヤー直径での物性測定では、内部インピーダンスが大きくなり、適切な測定が困難となる。さらに、ホール係数や抵抗率など物性測定では、ナノワイヤー側面対角に局所電極形成が求められる。以上の問題を克服するため、本研究グループによって確立したナノ加工技術を用いて、局所電極形成を行った測定サンプルを作製した物性測定を行い、量子効果による巨大ゼーベック効果の確認・実証を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
石英ガラステンプレートを用いた単結晶Biナノワイヤー熱電変換素子の開発を進めている。石英ガラステンプレートについては、空孔50nmまでの作製手法についてノウハウが蓄積され、その外径を1mm以上とすることができ、取り扱いも簡便になった。また、並行してナノワイヤー熱電変換素子の開発を進め、最小ワイヤー直径65nmまでの素子の作製に成功した。 作製された素子を用いて物性測定,特にホーム測定を行うにあたり、集束イオンビームを用いた局所電極形成に取り組み、様々な問題点を整理・確認した上で、ワイヤー直径65nmの側面への電極形成に成功した。ゼーベック係数測定においては、ナノワイヤー端部の研磨ならびに真空蒸着法による電極形成だけでは、良好なオーミック接続が困難な領域となってきたため、集束イオンビームを使ったナノ加工ならびにその場電極形成をすることによって、確実なオーミック接続を得る方法を開発している。室温でのゼーベック係数測定も既に行われ、バルクBiとほぼ同程度のゼーベック係数が得られることも確認しており、本手法がさらにワイヤー直径の小さい領域でも適用できることが明らかになった。 初年次に大きく加速すべきナノワイヤー熱電変換素子の要素技術である石英ガラステンプレート作製ならびに集束イオンビームを用いた物性測定を想定した局所電極形成についての問題はほぼ解決することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さまざまなワイヤー直径を持つナノワイヤー熱電変換素子のゼーベック係数を中心とした物性測定を行っていく。バルク領域からワイヤー直径300nm以上の領域においては三次元モデルが記述できるものの、ワイヤー直径が300nmを下回るとホール移動が大きくなるような傾向が実験結果から明らかになっており、特に結晶方向依存性が強い。これまでワイヤー直径200nm,特にワイヤー直径50nm程度で半金属-半導体遷移が予想されているが、3次元素子の延長線上に無いような結果が得られていることを鑑みると、ワイヤー直径ならびに結晶方向の観点から整理した実験的確証が必要となってくる。並行して実験結果を説明すべく、表面ポテシャルの影響などを考慮したモデルの確証を進めていく。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] Thermographic measurement of bulk thermal diffusivity2015
Author(s)
Struck Alexander, Terakado Hiroki, Hasegawa Yasuhiro, Homma Ryoei, Islam Zahidul, Bastian Georg
Organizer
13th European Conference on Thermoelectrics / 34th International Conference on Thermoelectrics
Place of Presentation
ドイツ・ドレスデン
Year and Date
2015-06-28 – 2015-07-02
Int'l Joint Research
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