2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール制御によるナノワイヤー熱電変換素子の巨大ゼーベック効果発現と機構解明
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15H04142
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助教 (20260515)
中村 浩章 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)
村田 正行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80717695)
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ナノ加工 / 量子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
超低炭素社会・省資源社会実現のためクリーンエネルギー需要が高まっている中、熱(温度差)から電気への直接エネルギー変換を可能にする熱電変換現象に着目している。そのエネルギー変換効率は、ゼーベック係数S[V/K],抵抗率ρ[Ωm],熱伝導率κ[W/mK]の3つ物性値(熱電パラメータ)を用いた性能指数z=S2/(ρκ)[K-1]に、絶対温度T[K]を乗じた無次元性能指数zTを用いて見積もられている。現状では、zT~1程度,エネルギー変換効率は約10%であり、日本のエネルギー事情を考える上でzT向上の実証研究は特段の推進が求められている。zTを飛躍的に向上させるため熱電変換素子の構造を変える,つまり超格子やナノワイヤー構造などを採用し量子効果を取り入れ低次元状態密度を導入することで、飛躍的なゼーベック係数の向上が達成できるという理論的な指針が得られている。本研究では1次元ナノワイヤー形状のナノワイヤー熱電変換素子を用いて、量子効果導入の確証の1つである巨大ゼーベック効果の実証を進めた。 本研究において、同一のナノワイヤー熱電変換素子から抵抗率,ホール係数,ゼーベック係数を決めることに世界で初めて成功した。これによって、モデル計算で示されたキャリアがワイヤー側面で散乱することで平均自由行程が制限されるモデルの信憑性ならびに実験の正しさを示すことが出来た。また現在、低温領域の測定ならびに、ワイヤー直径100nm以下の1次元量子ナノワイヤー熱電変換素子のナノ加工を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ワイヤー直径20nmまでのナノワイヤー熱電変換素子の作製までの目処がついたことと、ナノ加工によるホール係数をはじめとする電気物性測定のレシピが完成した。また、これまで確認されてこなかった平均自由行程制限モデルの信憑性を実験から明らかにされたことなど。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ加工のレシピは完成したものの、実際の作業時間は極めてかかることから、物性値のワイヤー直径依存性を明らかにするためには、さらなるロバスト性を考えたナノ加工プロセスの改良や、集束イオンビームをはじめとしたナノ加工装置のマシンタイム確保に務める。
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Research Products
(10 results)