2015 Fiscal Year Annual Research Report
自発的秩序に基づく酸化物ナノチューブへの周期構造形成とエネルギーデバイスへの展開
Project/Area Number |
15H04160
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土谷 博昭 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50432513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 愼司 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70199371)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 陽極酸化 / ナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
チタンと同様にフッ化物含有溶液中でポーラス状酸化被膜が形成することが見出されているタンタルにおいて、デバイス応用のためにはチューブ状酸化被膜の厚膜化が必要となるため、その条件探索を行うとともに、チタン-白金合金についても検討した。また担持する白金や金のフッ化物含有溶液中での陽極酸化挙動についても検討した。タンタルの陽極酸化においては、既報を参考に、濃硫酸を溶媒に、フッ化物としてフッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムもしくはフッ化水素、陽極酸化における酸素の供給源として水を添加した溶液中で行った。いずれの溶液においても、厚さが数マイクロメートル程度のチューブ状酸化被膜が形成した。また、水の量が多くなると、酸化被膜はほとんど成長しなかった。バルブ金属種が及ぼす影響を検討するためには同条件で成長挙動を比較する必要があるため、タンタルにおいて厚膜チューブ状酸化被膜が形成した条件でチタンの陽極酸化を行った。その結果、チューブ状酸化被膜が形成せず、膜厚も薄かった。チタンの酸化被膜はタンタルの酸化被膜と比べ、硫酸をベースとした溶液ではエッチングが過度に起こるためチューブ状酸化被膜が成長しなかったと推察した。そこで、溶液に用いる溶媒を、チタンの陽極酸化において報告例の多いエチレングリコールに変更し検討を重ねた結果、タンタルにおいてもチューブ状酸化被膜を形成することが出来た。しかし、被膜の密着性に課題が残った。チタン-白金合金の陽極酸化においては、フッ化アンモニウムと水を加えたエチレングリコール溶液中において、厚さ数マイクロメートル程度のチューブ状酸化被膜を形成することができ、陽極酸化時間により膜厚を変化できることも分かった。また白金は陽極酸化を行っても表面外観および表面構造は変化せず反応していないことが示唆されたが、金では陽極酸化後に表面が黒色に変化し反応することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、合金の陽極酸化を検討することが目的であったが、タンタルの陽極酸化に時間を取られ予定していた合金種の影響を調査できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
貴金属を含むチタン合金やタンタル合金をフッ化物を含む溶液中で陽極酸化することにより貴金属が担持されたナノチューブ状酸化チタン被膜もしくはナノチューブ状酸化タンタル被膜を作製し、作製した酸化被膜中の貴金属分散状態を調査し、その分散性がバルブ金属種により変化するのか、また分散性を陽極酸化条件により制御できるかを検討する。そのためには、酸化タンタル被膜の密着性を改善する必要がある。フッ化物含有溶液中での陽極酸化により形成する酸化被膜と基板との密着性は陽極酸化中に酸化被膜内を移動したフッ化物イオンが基板と反応しフッ化物リッチ層を形成し、それが密着性に影響することがチタンにおいて知られている。酸化タンタル被膜の密着性も同様であると考えると、ナノチューブ状酸化被膜を形成するための陽極酸化時間を短くすることが出来ればフッ化物リッチ層の形成を抑制することができ密着性も向上することが出来ると考えらえる。よって、タンタル上でのナノチューブ状酸化被膜の成長速度を増加させるための陽極酸化条件の探索も併行して行う。さらに複数の貴金属を含有した合金の陽極酸化も行い、担持される貴金属の状態を調査し、貴金属合金として担持できるのかを検討する。さらに形成した酸化被膜の特性評価も行い、デバイス応用の可能性についても検討する。
|
Research Products
(6 results)