2016 Fiscal Year Annual Research Report
界面直接観察と分子動力学法によるSiC溶液成長界面のステップ構造形成機構の解明
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15H04166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 健 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90435933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90401124)
川西 咲子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80726985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / 固液界面 / 直接観察 / 分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiCの高温成長界面観察と分子動力学法シミュレーションを駆使して、SiCの溶液成長界面におけるステップ構造の決定機構と転位転換現象の機構を解明するため、H28年度は以下の検討を行った。 (1)SiC溶液成長界面のモフォロジーに及ぼす溶媒成分の影響の調査 H27年度完遂予定の界面観察機構の新規製作を継続実施した後に、Si-Cr系溶媒を用いた成長時の界面観察を、組成条件を中心に系統的に実施した。とりわけAlの添加効果に注目して調査を行ったところ、Al無添加では界面に形成する成長ステップのピン止めが多発してテラスが拡大する傾向にあること、テラスが数100ミクロン幅にまで拡大した場合には、デンドライト成長が進行し界面が著しく荒れることを示した。一方Alの添加によりピン止めが抑制されることで均一ステップ条件が得られることを明らかにした。加えて界面観察を行った結晶中の転位等の欠陥の分布の評価を行い、欠陥とステップの相互作用についても有益な知見を得ている。他の添加成分や異なる溶媒系を用いた成長時の界面観察も実施し、成分や溶媒系の作用について定量的な評価を進めている。 (2)分子動力学法シミュレーションによるSiC/溶液界面構造解析 Si溶媒中でのSiCの溶液成長を模擬した条件での固液界面状態の分子動力学計算を行った。純Siの融液成長に比べてSiCの溶液成長が著しく低速であることが予想され、実際系の状況と合致することを確かめた。現在、成長を律速する成長過程の評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流動を付与した際の合金溶液の安定把持が困難であり、流動が成長界面状態に与える影響の調査はやや立ち遅れている。一方で、静止した合金溶液を用いて添加成分や溶媒系が界面構造に与える影響について系統的に調査することにより、特にAl等の添加成分が界面におけるステップ形成に与える作用について重要知見を多く取得した。加えて、幅広い成長速度において界面観察を実施することで、成長起点に関する新規知見が得られている。 以上より進捗状況を上記の通り自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
界面観察実験においては、H28年度の研究において、溶媒組成の影響評価に大きな前進が見られたため、引き続き溶媒組成の影響評価を行う。ここから界面物性と溶媒組成の相関性を明らかにし、SiC成長用溶媒の組成設計に向け、界面の効果について定量的議論を導く。加えて一部の溶媒組成を用い、原料基板への回転を付与することで、流動がステップ構造に及ぼす作用を明らかにする。 分子動力学法においてはSi溶媒中でのSiCの成長速度が低速であることから、高速計算が可能な条件・手法を検討する。次いで、種々の結晶面を入力した後の界面の原子配置を調査することで、溶媒中の安定面の評価を実施する。
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Research Products
(4 results)