2016 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス材料の構造制御に立脚した高機能選択酸化触媒の開発
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15H04184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 慶吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451801)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 選択酸化 / 不均一触媒 / 酸素分子 / ペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、「異常原子価(高酸化数)金属を構成元素にもつ、あるいは酸素分子の脱挿入が可能なセラミックス材料(主に酸化物)を合成し、これら材料を触媒あるいは担体として用いて酸素分子や基質の活性化を行い有害な副産物を生成しない有機基質の液相選択酸化プロセスの開発」を目的としている。本年度は、ナノペロブスカイト合成時のアモルファス前駆体生成の重要性に着目し、単純かつ効率的な新たな合成ルートを検討した。具体的には、アスパラギン酸と金属源に硝酸塩ではなく酢酸塩を用いることでpH調整を必要とせずアモルファス前駆体を合成でき、これら前駆体の焼成により高表面積なSrMnO3の合成に成功した。333 Kでの分子状酸素を酸化剤としたフルオレンからフルオレノンへの選択酸化反応に対する触媒活性を比較した。酸化反応は触媒非存在下では進行しなかった。触媒反応は活性種の生成などに起因する誘導期なく効率的に進行した。種々の触媒の中でも、アミノ酸法で合成したSrMnO3が最も高い触媒活性を示し、24 h 後のフルオレノン収率は96%に達した。フルオレンの酸素分子を酸化剤とした選択酸化反応に対してマンガン触媒を含む様々な固体触媒が報告されているが、高収率を得るために高い反応温度、酸素圧力、あるいは添加剤(ラジカル開始剤、強塩基など)を必要とする。一方、本反応温度は添加剤なしの1 気圧酸素のみを酸化剤とした触媒系の反応温度(368&ー443 K)と比較しても低く、本触媒系が温和な条件で反応を促進していることが明らかとなった。本触媒は不均一系触媒として機能し、再使用可能であった。本系は他の基質(キサンテン、ジフェニルメタン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン)の酸化反応にも適用可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は錯体重合法による合成法を念頭においていたが、高機能な複合酸化物材料の簡便な合成法を確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最適組成触媒の高機能化を行う。比表面積当たりの活性が高い酸化物材料を微粒子化や高分散担持できれば飛躍的な活性向上が期待される。分子性(ヘテロ)複核錯体を用いたソフト化学的手法によるセラミックス触媒の合成も視野に入れる。錯体の加水分解を回避可能な有機溶媒中での反応を検討し、より均質な微粒子前駆体を得る。また、これら分子性化合物を担体(主として無機酸化物担体)へ担持あるいは固定化した後に焼成することで望みの構造をもつ担持固体触媒を合成する。
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Research Products
(8 results)