2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内環境での蛋白質間相互作用阻害剤スクリーニング技術の開発
Project/Area Number |
15H04190
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河原 正浩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345097)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 蛋白質 / 創薬 / 遺伝子 / スクリーニング / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではレポーター分子として受容体やその下流のシグナル伝達分子を用い、蛋白質間相互作用に伴う増殖・生存シグナル伝達をリードアウトとして検出する。これまでに、増殖因子受容体であるc-kitと相互作用を検出したい蛋白質やペプチドとのキメラを構築し、蛋白質間相互作用や蛋白質-ペプチド間相互作用を細胞増殖により検出することに成功した。しかし、アフィニティーが弱い相互作用は検出することができなかった。様々なアフィニティーの蛋白質間相互作用を扱うためには、検出可能なアフィニティーのダイナミックレンジを広くする必要がある。 そこで、より低いアフィニティーの相互作用を検出できる高感度なキメラを新たに分子構築することにした。本年度は、これまでに構築したc-kitキメラに、FK506結合蛋白(FKBP12)のF36V変異体(ヘルパー)を導入し、合成小分子リガンドAP20187の添加によりキメラの二量体形成を補助することで、標的蛋白質間相互作用の感度向上が達成できるかを検証した。標的蛋白質間相互作用として、AP21967依存的に相互作用を誘導できるFKBP12-FRB(T2098L変異体)のペアをまず選んだ。FKBP12とFRB(T2098L変異体)をBait, Preyとしたキメラコンストラクトをレトロウイルスベクターに組み込み、IL-3依存性Ba/F3細胞に遺伝子導入し、恒常発現株を取得した。IL-3非存在下で様々な濃度のAP21967を添加して培養した結果、ヘルパーを導入した場合において、より低いAP21967濃度で細胞増殖が見られた。また、恒常的に相互作用するp53 peptide-MDM2のペアについても同様に実験した結果、ヘルパーを導入した場合においてのみ細胞増殖が見られた。以上より、ヘルパー導入により本蛋白質間相互作用検出系の感度を大きく向上できることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はc-kitキメラを用いた細胞増殖をリードアウトとする蛋白質間相互作用検出系の高感度化に向けた検証が目標であった。実際に2つの蛋白質間相互作用ペアについて、ヘルパー導入による検出感度向上を達成したことから、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に開発したヘルパー導入型c-kitキメラをベースにしてライブラリースクリーニングの系を構築し、ペプチドや蛋白質の親和性成熟を達成できるかを検証する。 また、c-kitキメラでは標的蛋白質としてオリゴマー形成蛋白質を選んだ場合、恒常的に増殖シグナルが出てしまうため、原理的な限界がある。そこで、膜局在によって活性化されるシグナル分子を利用することで、オリゴマー蛋白質を標的蛋白質として用いられる系も構築する。
|
Research Products
(22 results)