2016 Fiscal Year Annual Research Report
二色蛍光比法による超音速燃焼器内の瞬時噴流モル分率の計測
Project/Area Number |
15H04199
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河内 俊憲 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40415922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 眞一郎 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20135958)
永田 靖典 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (20635594)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 先端レーザ計測 / 超音速混合・燃焼 / 推進工学 / 圧縮性流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,二種類の蛍光トレーサをそれぞれ空気流と燃料噴流に添加し,同時にレーザで励起して各トレーサからの蛍光発光を測定することで,圧縮性混合場において「瞬時」モル分率を計測できるアセトンとトルエンを用いた新しい計測法(二色蛍光比法)の開発を目指している. 本年度は,トルエンとアセトントレーサを用いた二色PLIF計測システムの構築を行った.そして,これを用いて,マッハ2の気流中に垂直に音速噴射される噴流の瞬時モル分率の計測を試みた.またこれと併せて,アセトントレーサのみを用いた単色蛍光比法を行い,平均モル分率を計測し,これと瞬時モル分率計測結果のアンサンブル平均を比較し,計測の妥当性を検証した. これら計測を通じて,トルエンPLIFのレーザ飽和強度が低いことに起因し,計測システムのS/N比が低下することが分かった.本年度は,これを改善するために,トレーサ同士の干渉を利用するという方策も考案することが出来た.これに関しては実験で立証することは出来なかったが,改善したシステムにおいて瞬時モル分率を算出する式に関しては定式化できた. これら瞬時モル分率の計測に加えて,トルエンPLIFを用いて超音速境界層の可視化を試みた.しかしながら,主流にトルエンを多く添加するとトルエンが凝縮し,可視化が行えないことが分かった.そこでトレーサをトルエンからアセトンに変更し,可視化を試みた.その結果,壁面近傍の5 mmの領域は励起レーザの散乱により計測が困難であるが,アセトンPLIFにより境界層の密度場の可視化が行え,平均密度の定量計測が可能であることが分かった.これに加えて従来計測することが困難であった変動密度の計測も行える可能性があることが分かった. 実験データの検証に用いるLES計算に関しては,スキームの高次精度化は行えたけれど,実験の対応計算にあたる超音速横風中の噴流計算は行えなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風洞実験では,二色PLIF計測システムの構築に成功し,トレーサの干渉を含めた二色蛍光比法の定式化を行うことができ,初期段階ではあるが超音速流中に噴射される噴流の瞬時モル分率を計測することに成功した.加えて計測システムのS/N比を向上する手法を立証することは出来なかったが,考案することが出来たので,「当初の計画以上の進展」といえる.その一方でLES計算では,スキームの高次精度化に手間取り,超音速横風中の噴流計算は行えなかった.そこでこれを考慮して,「おおむね順調に進展」とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は二色PLIF計測システムの構築を行い,超音速流中に垂直に噴射された噴流の瞬時モル分率の計測に成功した.また初期段階ではあるが,単色蛍光比法との比較により計測の妥当性の検証を行えた.しかしながら,単色蛍光比法,二色蛍光比法とも計測のS/N比が悪く,これを改善する必要があるという課題も見えてきた.そこで平成29年度は計測システムを改良し,計測精度の向上を目指す.そしてS/N比を改善した計測結果を用いて,その妥当性を定量的に議論する.またこれまで得られた結果を複数編の論文にまとめ,投稿を行う.
|
Research Products
(4 results)