2016 Fiscal Year Annual Research Report
電磁力エアロブレーキングの減速開始高度を制御する新技術の開発
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15H04200
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
葛山 浩 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (80435809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電磁力ブレーキング / ホール効果 / 抗力測定 / レーザートムソン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
希薄アーク気流中での電磁力発生実験を行い、抗力を測定した。また、電子温度・密度計測のためのレーザートムソン散乱計測系の構築を終えた。 1.抗力測定について 開発済みのアーク希薄風洞・振子式抗力測定装置を用いて、希薄弱電離プラズマ気流中での電磁力発生実験を行い、試験模型にかかる抗力を測定した。また、数値計算を用いて実験をシミュレートし、実験結果との比較を行った。この実験の目的は、高々度希薄領域での電磁力発生のキー・メカニズムと予想される気流中での絶縁境界の役割「絶縁境界が機体に近づくことで、ホール効果による電流散逸が抑えられ、強いホール電場が発生し、大きな電磁力が得られる」を実証することである。そこで、風洞の背圧を15~60 Paの範囲で変化させ、気流境界(絶縁境界)の位置を試験模型に近づけ、発生する抗力の変化を調べた。実験では、どの圧力下でも電磁力により全抗力は20%程度増加した。また、この値は、数値シミュレーションにより予想される値の2~4倍程度も大きかった。但し、数値計算で予想された、絶縁境界が模型に近づくことで、大きな電磁力が発生する現象は、実験では観測できなかった。この原因は、実験気流が計算で予想されたよりも濃く、希薄効果が顕著でなかったことが予想される。このため、次年度は、気流の流量・放電電流を抑えた実験を行い、さらに試験模型に搭載する磁石を強めて、より希薄効果の顕著な気流での実験を行う。
2.レーザートムソン散乱による電子温度・密度計測について 試験気流の絶縁境界位置・磁気相互パラメーター・ホールパラメータ・電磁力による電子温度・密度の変化を調べるため、レーザートムソン散乱を行う。本年度は、トリプル分光器の自作・レーザー導入出光学系・散乱光取得光学系の構築を行い、トムソン散乱計測実施のための準備は全て終えた。次年度前半から実験を実施できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に発生した真空チャンバーの不具合の改修のため、抗力計測実験の実施が遅れた。その影響を受け、当初予定していたレーザートムソン散乱計測実験を本年度に実施できなかった。しかし、レーザートムソン散乱計測に必要な計測系の構築は、既に完了している。このため、次年度初頭から計測実験を開始し、当初予定していた物理量の計測を前半中に終え、遅れを取り戻すことができる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前半は、気流をより希薄な状態にし、再度電磁力の計測を行う。また、既に準備を終えているレーザートムソン散乱による電子温度・密度計測を行う。この実験により、絶縁境界位置によるホール電場の増大に起因する電子温度の上昇を捉えることができ、前述の希薄効果のメカニズムを直接実証できると考えている。また、並行して、前年度までに開発済みの希薄粒子計算コードを用いて、実験のシミュレートを行い、実験結果を検証する。次に、後半では、電磁促進剤としてカリウムを気流に添加し、希薄気流中で大電磁力を強制的に発生させる実験を実施する。
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Research Products
(6 results)