2017 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガス電気化学的還元手法の閉鎖環境制御への応用研究
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15H04206
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
曽根 理嗣 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (70373438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 実 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20323066)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 航空宇宙環境 / 閉鎖環境制御 / 生命維持 / 炭酸ガス利用 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
有人宇宙活動の長期化や拠点化が進む中では炭酸ガス有効利用は重要である。今日、炭酸ガス還元にはサバチエ反応が用いられる(CO2+4H2→CH4+2H2O)。この反応はメタンと水を生じる。水は活用されるがメタンは廃棄される為、閉鎖系物質収支はマイナスとなる。 また当該反応は一般に350℃以上で平衡になる発熱反応であり、高温維持の為のエネルギー投入と熱処理に課題が多い。提案者らは炭酸ガスの酸化力と水素の還元力に着目し、両者の間で燃料電池を構築し、電力と炭酸ガス還元体の同時創出に世界で初めて成功した。当該反応は100℃以下で維持が可能であり、発電が可能である。本提案ではヒトの生活に有効な生成物の選択性と収率の向上を図るために反応機構を解明し、当該技術の実利用を可能にするための研究を進めている。 触媒としてPt-Ruを使用し、反応メカニズム解明のための実験を展開した。反応生成物に電位依存性があるが、この電位に電極の接触抵抗が影響を及ぼすことが可能性としてあり得るため、接触抵抗が異なる複数の実験を実施した。ただし、結果としては特に影響を受けているような兆しはなく、従来の燃料電池セルの設計に、反応場に対して影響を与えるようなパラメータはないことが認識された。 特に平成29年度には、非貴金属系触媒をカソード触媒として使用する実験を実施した。背景には、研究分担者である長岡技術科学大学側での検討において、非貴金属系触媒の中に炭酸ガスとの高い交換電流を示す触媒が見いだされたことがあった。ただし、非貴金属系触媒は、酸に溶出してしまうため、固体高分子膜として一般的に知られるNAFION系膜が使用できない。ここでは特に、アニオン交換膜を固体電解質として使用する方策を検討し、実験に使用した。結果としては、燃料電池を基調とするリアクターとしては反応活性が得られておらず実験の再設定が必要なことが認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
反応メカニズム解明のためにマイクロGCを使用することを検討してきたが、計測精度に課題があるため、マススぺクトロメータとの併用を進めてきた。その他、実験に必要とされるパラメータ調整のための要素技術の習得が進んでおり、当該実験に必要な計測手法としては習得された。また解析に必要なマトラブ等のソフトの導入も進んでおり、反応場シミュレーションも可能な状態にある。現在は、実験的手法による反応パラメータの絞り込みを進めており、当初の予定通り「反応機構の明確化と反応効率向上の検討」を進めてきた。特に、これまでの実験からは、Ru系触媒において、メタン等の低級炭化水素化合物の生成が確認されてきたが、いずれの反応においても生成量が少なく、反応活性を向上させる触媒の探索が重要であると認識された。 また、炭酸ガスとの高い反応活性が期待された非貴金属系触媒であったが、今のところはリアクターとしての性能を実現できていない。ただし、得られた知見は重要であり、平成29年度成果を受けて、実験条件の再設定を行い、成果に結びつけられると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに、実験に使用するリアクターを燃料電池ベースで整備し、成分分析に使用するマイクロGCおよびマススペクトロメータの設定条件を明確にした。 また、過去に経験のあるRu系触媒を中心に、異なる構造のRu系触媒を用いた試験を実施しつつ、カソードあるいはアノードへの不純物ガスの混入が反応活性に与える影響の評価を実施してきていた。 現在は、高活性触媒と、その触媒性能を生かしたリアクターの実現に向けてさらなる検討を進めているところであり、最終的には、反応場の維持を可能とする必要補器類の選定等を含めて設計要素の割り出しを進める。
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