2015 Fiscal Year Annual Research Report
海洋開発による環境影響評価のためのEnd-to-End生態系モデルの開発
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15H04210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多部田 茂 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40262406)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海洋利用 / 生態系モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国における海洋開発による海洋環境影響を考慮する際に、魚類の動態および漁業への影響は非常に重要であるため、これらを評価するためのモデル開発を行った。ここでは移動・成長・個体数変動を統合した魚類動態モデルを用いることとしたが、このモデルでは水温や溶存酸素などの環境因子に基づいて魚類の行動をモデル化しており、個体群動態と空間分布を同時に解析可能であることを確認したが、魚類の行動のモデル化の際に現場での定性的な情報や室内実験データによって環境因子への応答を決めているため、実海域での魚類の行動特性に関してより詳細な検討が必要であることが明らかになった。そこで、実海域において水温や溶存酸素等の環境因子と魚類の分布を同時に計測することにより、モデルの高精度化のための情報を収集することを目的とし、漁船を利用して簡便に計測を行うための方法について検討した。具体的には、漁船や漁網にGPS と小型水質センサーを取り付けて空間解像度の高いデータを取得しそれを解析することによって魚類の環境選好性を抽出する方法について、実海域で予備的な計測を実施しその有効性を確認した。 また、低次生態系から高次生態系までを統合的に扱いかつ人為的インパクトの影響を考慮できるEnd-to-End なモデルの設計を行った。流動・低次生態系モデルとしては、広域から構造物周辺のスケールを同時に扱うマルチスケール解析が可能であるMEC モデルをベースとした生態系モデルを用いることとした。また、漁業資源管理の分野で近年しばしば用いられている食物網を考慮したモデルであるEcopathおよびその時間変動をシミュレーションするEcosimとリンクして、物理場ー低次生態系ー高次生態系を統合的にシミュレーションする方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我が国における海洋開発による海洋環境影響を考慮する際に非常に重要である、魚類の動態および漁業への影響を評価するためのモデル開発に関して、モデルの高精度化のための情報を収集することを目的とし漁船を利用して簡便に計測を行うための方法について検討し、実海域で予備的な計測を実施しその有効性を確認した。また、低次生態系から高次生態系までを統合的に扱いかつ人為的インパクトの影響を考慮できるEnd-to-End なモデルについて、MECモデルとEwE(Ecopath with Ecosim)を結合する手法の設計を行った。これらは概ね当初の計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
魚類モデルに関しては、これまでに検討した底びき網漁船の漁具にセンサーを取り付けて、漁獲と同時に水質を計測する方法によって、実海域での環境因子と魚類分布を高頻度・高解像度で計測し、取得したデータを解析することによって、対象魚種の水温・溶存酸素等の環境因子に対する選好性を抽出する。その結果を用いて改良した行動モデル、成長モデル、個体数変動モデルを統合し、対象魚種の沿岸海域における動態をシミュレーションできるモデルを構築するとともに、複数魚種を対象としたモデルへの拡張を行う。また、栄養塩動態や水質変動を計算する低次生態系モデルと魚類を含む高次生態系モデルを結合し、構築したモデルを用いて実海域の生態系シミュレーションを行い、漁業の影響(Top-down的な生態系への影響)や、栄養塩負荷の影響(Bottom-up的な生態系への影響)等の予測・評価に適用する。また、海洋開発に用られる構造物への付着生物の影響を評価するためのモデルについても開発およびシミュレーションを実施する。
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Research Products
(5 results)