2015 Fiscal Year Annual Research Report
建造から品質・安全性・寿命まで評価可能な四次元可視化CAEシステムの開発
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15H04212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村川 英一 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60166270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹澤 久 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (20294134)
柴原 正和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20350754)
田中 智行 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20452609)
岡田 裕 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50281738)
生島 一樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80734003)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 溶接組立 / 残留応力 / 破壊強度 / 疲労寿命 / 大規模計算 / 計測 / CAE / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、製品の設計、生産、稼動時の安全性評価、補修からなるライフサイクル全体を視野に収めた戦略的『四次元可視化』CAE システムを破壊力学、溶接力学、計測分野の研究担当者の密なる連携の基に構築し、わが国の学術および産業の発展に貢献することを目的としており、平成27年度は下記の4課題について研究を実施しそれぞれ成果が得られた。 (1)シミュレーションプラットフォームの構築:本研究に参加している各大学がそれぞれ保有する超大規模解析のための理想化陽解法(大阪府立大学)、溶接シミュレーションプログラム(大阪大学)、三次元き裂進展解析および座屈崩壊解析システム(東京理科大学、広島大学)の整備および機能強化を図るとともにこれらを結合するプラットフォームの原型版を開発した。 (2)溶接組立シミュレーションと破壊力学解析プログラムの高速化と高度化:理想化陽解法のGPGPUへの実装により高速化を実現するとともに低変態温度溶接金属(LTT 溶接金属)をモデル化し溶接シミュレーションに導入することによりLTTの疲労寿命改善効果を明らかにした。また、三次元き裂進展解析システムについては、残留応力を考慮した線形/非線形破壊力学パラメータの高精度な計算手法の開発および進展する三次元き裂のFEメッシュ自動生成の高速化を行った。 (3)データマッピング手法の高度化:溶接シミュレーションや三次元き裂進展解析などを結合するため要素の種類や分割の粗密がまったく違っても適用可能な局所最小自乗法に基づくデータマッピング手法を開発し溶接継手におけるき裂進展の問題に適用した。 (4)試行解析の実施と問題点の抽出:10から50 万節点規模の試解析モデルを対象に溶接シミュレーションから残留応力を考慮したき裂進展解析までを実施し、一貫シミュレーションが現実的な時間で実行可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は下記の4課題について研究を実施しそれぞれ成果が得られたのでおおむね順調に進展していると評価される。 (1)シミュレーションプラットフォームの構築:超大規模解析のためのGPGPUを用いた理想化陽解法、溶接シミュレーションプログラム、三次元き裂進展解析システムを結合するシミュレーションプラットフォームを開発しスポット溶接継手に適用し非線形破壊パラメータを評価することがきた。 (2)溶接組立シミュレーションと破壊力学解析プログラムの高速化と高度化:理想化陽解法のGPGPUへの実装により、溶接組立シミュレーションの高速化を進めるとともに低変態温度溶接金属(LTT 溶接金属)をモデル化し溶接シミュレーションに導入することによりLTTの疲労強度改善効果を検証することができた。また、三次元き裂進展解析システムについては、進展する三次元き裂に対するFEメッシュ自動生成の高速化および大規模モデルへの対応を行った。 (3)データマッピング手法の高度化:溶接シミュレーションや三次元き裂進展解析などを結合するため要素の種類や分割の粗密がまったく違っても適用可能な局所最小自乗法に基づくデータマッピング手法を開発した。特に溶接が力学的に強非線形であるため応力の静水圧成分のスムージングに有効な手法を考案した。 (4)試行解析の実施と問題点の抽出:10万から50万節点規模の試解析モデルを対象に溶接組立シミュレーションから残留応力を考慮したき裂進展解析までを実施し、①溶接組立シミュレーション、②データマッピング、③破壊力学シミュレーションが一貫して実行可能であることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度において、溶接シミュレーションおよびき裂進展を含めた強度評価がシームレスに実行可能なシステムが構築されたので、これを活用した仮想実験を実施することで継手形状、溶接条件、付加荷重のモード、初期欠陥の位置と大きさなどが試験結果に及ぼす影響を事前に把握することが可能となった。今後は、このシミュレーションシステムを用いて目的に適合した効率的な実験方案を提案し、これを実際の実験で検証する方向で研究を進め、最終的には実構造物に展開して行きたい。
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Research Products
(13 results)