2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代炉水化学における学術基盤確立のための超臨界水放射線分解反応機構解明
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15H04243
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
室屋 裕佐 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40334320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超臨界水 / 放射線分解 / ピコ秒・ナノ秒時間分解分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
炉心冷却水の環境把握と制御はプラントの長期健全性確保に必要不可欠である。放射線照射に伴う水の改質が、応力腐食割れや放射能移行に直結するため、支配因子であるH2O2やその前駆体の初期分解生成物(H, OH, e-aq)を含めた水分解反応機構の解明が必須である。しかし初期生成物は反応性が高く短寿命であるためこれまで計測が容易ではなく、次世代軽水炉の稼働条件である超臨界状態(>374 oC, >22.1 MPa)における放射線化学的知見は極めて断片的である。本研究において量子ビームを駆使し、実機では不可能な超高速時間分解測定や照射場の直接観測の両面から反応機構を追求すると共に、これに基づく反応動力学計算から超臨界水の放射線分解反応を体系化することを目的とする。試料を超臨界状態に保ちつつ分光計測を行うために高温高圧分光セルが必要不可欠であるため、まずこれを設計・製作した。電子線形加速器施設においてこれを組み込み、ピコ秒領域を計測するためのパルスプローブ方式、およびナノ秒領域を計測するためのKinetic方式に基づく2種類の高時間分解分光測定系を構築し予備実験を行った。水和電子を測定対象としてピコ~ナノ秒領域の過渡吸収測定実験を行った結果、良好なS/N比で計測を行うことに成功した。室温から超臨界状態にわたり高速分光計測を行った結果、室温では>10ナノ秒で緩やかに進行するスパー拡散反応過程が、超臨界領域では1ナノ秒以内に極めて迅速に進行することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温高圧流体の放射線分解反応はピコ秒・ナノ秒といった短時間に進行するため、直接追跡することはこれまで計測困難であったが、パルスプローブ方式やKinetic方式に基づく新しい高時間分解分光測定系を構築・適用することにより、室温から超臨界状態にわたりこれまでにない良好なS/N比で直接追跡することに成功した。高温高圧状態下のビーム誘起反応をこのようなピコ秒・ナノ秒分解能で追跡可能な装置は世界唯一である。次なる段階である放射線分解反応系の解明に向け足掛かりを得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した高速時間分解分光装置を駆使し、亜臨界から超臨界状態にわたり重要な反応中間体(水和電子、OHラジカル、H原子)を対象に、ピコ~ナノ秒領域のダイナミクスを追跡し、収量(G値)やKineticsの基礎データを取得すると共に、反応動力学計算コードも構築し、放射線分解過程に関わる重要な素反応や時間的空間的発展について詳細な検討を進める。
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Research Products
(9 results)