2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H04261
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
坂場 武史 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (80609511)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経科学 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、下記項目について研究を進めた。本年度はシナプス前終末の生理学的な研究が進み、特にシナプス小胞エンドサイトーシス機構に関して分子細胞メカニズムの解明に関して進捗が見られ、以下の2本の論文として公刊した。 (1)ラットcalyx of Heldシナプスでシナプス小胞による開口放出後のシナプス小胞膜のエンドサイトーシスと小胞膜タンパク質のエンドサイトーシスをそれぞれ膜容量測定法とsyt2-cypHerによる蛍光標識によって測定した。この結果、エンドサイトーシスには遅いシナプス小胞エンドサイトーシス経路と速いバルクエンドサイトーシス経路の2経路があることを実証した。また、小胞タンパク質の遅いエンドサイトーシスにはcalmodulin-Munc13が必要であり、シナプス小胞膜エンドサイトーシスはそれらに依存しないことから、小胞膜取り込みと膜タンパク質取り込みは別の機構によっていることが強く示唆された。この研究はeLife誌に公刊された(Okamoto et al., 2016, eLife)。 (2)シナプス小胞エンドサイトーシスにおいてはアクチン骨格が重要な役割を持ち、とくにミオシンとフォルミンタンパク質に依存していることをドイツLeipniz InstituteのVolker Hauckeグループとの共同研究によって示した。これは共著論文としてNeuron誌に受理され、公刊された(Soykan et al., 2017, Neuron)。 このほかの研究としては哺乳類脳中枢の小型シナプスにおいてシナプス前終末からの直接パッチクランプ記録を進める実験をすすめ、これを技術的に可能にすることができた。来年度以降も、シナプス伝達、可塑性の分子細胞メカニズムに関する研究と神経回路における役割の双方を進めていくことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、未解明の点が多いシナプス前終末の伝達物質放出機構、とくにエンドサイトーシス機構に関していくつか論文を公刊できた。また、挑戦的な課題として、技術的に難度の高い哺乳類脳中枢の小型シナプスにおいてシナプス前終末からの直接パッチクランプ記録を進める実験をすすめ、これを技術的に可能にすることができた。この実験に関しては来年度以降の公刊を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んいると思われるので、確実に論文を公刊すること、また軸索からの直接電気記録にも挑戦することで、なるべく推定のない形で、軸索、シナプス前終末の生理学的特性を明らかにすることが重要であると考えている。
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Research Products
(7 results)