2016 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌における悪性形質およびアンドロゲン不応性の一元的制御機構の解明
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15H04297
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡部 昌実 岡山大学, 大学病院, 教授 (70444677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 鵬 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00610841)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腫瘍学 / 男性ホルモン / 前立腺 / 悪性形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌抑制タンパク質REIC/Dkk-3 は各種正常・癌細胞内においてOncogenic Ras シグナルを抑制し、また、REIC/Dkk-3に結合するタンパク質として、SGTA(small glutamine-rich tetratricopeptide repeat-containingprotein α)が同定されている。諸家の報告によりSGTA がAndrogen シグナルを標的細胞内で抑制することが知られていたが、興味深いことに我々は、REIC/Dkk-3 がSGTAを結合してSGTA により抑制されたAndrogen シグナルを回復させる作用を持つことを発見した。すなわち、REIC/Dkk-3 は前立腺等のAndrogen 標的臓器において、Ras およびAndrogen シグナルの両方を一元的に制御している可能性が高い。本年度は、REIC/Dkk-3 のこれらの機能を解析し、前立腺癌における悪性形質およびAndrogen 不応性の一元的制御機構の分子メカニズムを明らかにすることを目標に研究を行った。 特に、SGTA がAndrogen receptor のみならず、Glucocorticoid および Progesterone receptor の核内移行・シグナリングをも制御しているという仮説のもと、REIC/Dkk-3 とSGTA との機能的結合による3種類のステロイド核内受容体のシグナル制御機構に関する解析を行った。 また、AR シグナルおよびRas 活性化の制御作用を有するREIC/Dkk-3 遺伝子の機能ドメインの同定についての解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
REIC/Dkk-3とSGTAの機能的結合によるステロイドレセプターシグナルの制御機構が明らかになりつつあり、順調に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き申請時の計画に基づき研究を進める。 1)SGTAによるステロイドセレプターシグナリング制御機構の解明 近年の諸家の研究により、SGTAがAndrogen receptorのみならず、Glucocorticoid および Progesterone receptorの核内移行・シグナリングをも制御しているという報告が相次いでいる(J Biol Chem, 289:15297, 2014 等)。現時点で、REIC/Dkk-3とSGTAとの機能的結合を実証できているのは世界で我々のみであると考えられ、これら3種類のステロイド核内受容体のシグナル制御機構、特にGlucocorticoid receptorについて解析する。 2) REIC/Dkk-3とSGTAおよびTctex-1によるARシグナルの制御機構の解明 REIC/Dkk-3とSGTAおよびTctex-1分子に基づくARシグナルおよびREIC-Rasシグナルの動態や、Androgen感受性について解析する。
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