2016 Fiscal Year Annual Research Report
家族性腫瘍の原因である生殖細胞突然変異の発生メカニズムの解明
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15H04298
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
作見 邦彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (50211933)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がんと遺伝 / 生殖細胞突然変異 / ミューテーターマウス / エクソーム解析 / MTH1 / OGG1 / MUTYH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「遺伝性腫瘍症候群の原因である生殖細胞突然変異の発生メカニズムの解明」 を目指し,ミューテーターの性質を持つMth1/Ogg1/Mutyh triple KO (TOY-KO) mouse を用いて,(1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)の原因遺伝子を決定すること,(2) 新たな家族性腫瘍モデルマウス系統を樹立すること,(3) 生殖細胞突然変異の発生に対する性・老化の影響を評価すること,を目的としている。平成28年度は(1),(2)に関して以下の研究を行った。 (1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)に関して,担がん個体とコントロール個体及び細胞,計20サンプルのDNAを材料にエクソーム解析を行った。現在これらのデータを元に複数の解析方法で原因遺伝子の探索を行っている。 (2) Mth1-KO(N31),Ogg1-KO(N32),Mutyh-KO(N36)を用いた交配によって25匹のMth1(+/-),Ogg1(+/-),Mutyh(+/-)(TOY-トリプルヘテロ)マウスを作成、これらを用いてMth1/Ogg1/Mutyhトリプルホモマウス,Mth1/Ogg1ダブルホモマウス,Ogg1/Mutyhダブルホモマウス,Mth1/Mutyhダブルホモマウス,およびMth1シングルホモマウス,Ogg1シングルホモマウスMutyhシングルホモマウス、野生型マウスの8種類のマウスの作成を開始している。 (3) 生殖細胞突然変異の発生に対する性・老化の影響を評価に関しては,2016年にヒトのサンプルを用いた大規模解析(Nature Genetics, vol48, p823-p824, p935-p939)が報告され,我々の仮説がほぼ証明されたため実施を保留した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
涙腺腫瘍の原因遺伝子探索の為のエクソーム解析を終了した。また,皮膚腫瘍の原因遺伝子探索の為のエクソーム解析も進行中である。それぞれのデータから抽出された腫瘍候補遺伝子について,家系図中の他のマウス試料を用いて確認作業を進める予定である。 新規TOY-KO mouseの作成に関して,Mth1/Ogg1/Mutyhトリプルヘテロマウスの交配を開始した。その過程でMth1,Mutyhダブルホモマウスが生存可能であることを初めて確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画に基づき涙腺腫瘍、皮膚腫瘍の原因遺伝子の探索,確認作業を継続する。また,Mth1/Ogg1/Mutyhトリプルヘテロマウスの交配によるMth1/Ogg1/Mutyhトリプルホモマウス家系の樹立を行う。 両親と子供のBAMファイルから自然突然変異頻度を計算するためのパイプラインを設計する。これと樹立予定のMth1/Ogg1/Mutyhトリプルホモマウス,Mth1/Ogg1ダブルホモマウス,Ogg1/Mutyhダブルホモマウス,Mth1/Mutyhダブルホモマウス,およびMth1シングルホモマウス,Ogg1シングルホモマウスMutyhシングルホモマウス、野生型マウスの自然突然変異頻度を計算,それぞれの遺伝子が自然突然変異抑制に果たす役割を定量化する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] PKCη deficiency improves lipid metabolism and atherosclerosis in apolipoprotein E-deficient mice.2016
Author(s)
K. Torisu, X. Zhang, M. Nonaka, T. Kaji, D. Tsuchimoto, K. Kajitani, K. Sakumi, T. Torisu, K. Chida, K. Sueishi, M. Kubo, J. Hata, T. Kitazono, Y. Kiyohara, and Y. Nakabeppu
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Journal Title
Genes Cells
Volume: 21
Pages: 1030-1048
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Nucleotide excision repair of oxidised genomic DNA is not a source of urinary 8-oxo-7,8-dihydro-2'-deoxyguanosine.2016
Author(s)
M.D. Evans, V. Mistry, R. Singh, D. Gackowski, R. Rozalski, A. Siomek-Gorecka, D.H. Phillips, J. Zuo, L. Mullenders, A. Pines, Y. Nakabeppu, K. Sakumi, M. Sekiguchi, T. Tsuzuki, M. Bignami, R. Olinski, and M.S. Cooke
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Journal Title
Free Radic Biol Med
Volume: 99
Pages: 385-391
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] イノシン三リン酸分解酵素ITPA欠損の哺乳動物細胞およびマウス中枢神経系への影響の解析2016
Author(s)
土本 大介, 米嶋 康臣, 古賀 祐一郎, Nona Abolhassani, 猪山 輝昭, 浅田 真司, 作見 邦彦, 塩見 尚子, 森 雅彦, 塩見 忠博, 野田 哲生, 中別府 雄作
Organizer
第39回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2016-11-30 – 2016-12-02
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