2017 Fiscal Year Annual Research Report
Recapitulation of life cycle of an animal RNA virus in vitro
Project/Area Number |
15H04324
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
今高 寛晃 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50201942)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 試験管内タンパク質合成 / ウイルスプロテアーゼ / 翻訳 / RNAウイルス / 新生鎖 / タンパク質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
EMCVウイルスの3Cプロテアーゼがこのウイルスのポリプロテイン(L-1A-1B-1C-1D-2A)を分断するためには、3Cプロテアーゼがco-translationalに、つまりL-1A-1B-1C-1D-2Aが合成されている時に働かなければならないことは前年度の研究により明らかになっていた。そこで、我々は以下の作業仮説を立てた:3Cがリボソームに結合し合成中のL-1A-1B-1C-1D-2Aを分断する。この仮説を検証するために、試験管内タンパク質合成系を駆使して以下の実験を行った。まず、HeLa細胞抽出液でEMCV 3Cを合成し、ショ糖密度勾配遠心で分画した。すると、3Cはリボソームと同じフラクションに分画された。また、EMCV 3C-Hisを合成したHeLa細胞抽出液をニッケルカラムに通すと、3C-Hisと共にリボソームが溶出してきた。つまり、3Cはリボソームに結合することが証明された。また、N末10アミノ酸を欠損させた変異体3C (delN10-3C)は上の2つのアッセイでリボソームに結合しなかったため、3CのN末のアミノ酸がリボソーム結合に重要であることがわかった。そこで、試験管内タンパク質合成系(HeLa細胞抽出液)で3C (delN10-3C)をL-1A-1B-1C-1D-2Aをco-translationalに合成し、この合成中のポリプロテインを切断できるかどうか観察した。すると、完全長の3Cの場合と異なり、リボソームに結合できないこの変異体3Cは新生鎖ポリプロテインを切断できなかった。3C (delN10-3C)は予め合成しておいたL-1Aを切断できることから、プロテアーゼの活性自体は保有していることが確認できた。従って、リボソームに結合できない3Cは新生鎖ポリプロテインを切断できないと結論に至った。これらの実験結果は我々の仮説を支持している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工細胞とウイルス合成の技術基盤は構築でき、またそれを利用して新規な発見ができているため研究は順調に進んでいる、と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は試験管内タンパク質合成系を駆使して、以下の2項目の研究を行う。(1)3Cプロテアーゼがリボソームのどこに結合するのかをCRAC法を用いて決定する。(2)これまではEMCV (脳心筋炎ウイルス)だけを用いて実験を行ってきたが、他のRNAウイルスのプロテアーゼもリボソームに結合するかどうかを調べる。
|
Research Products
(11 results)