2015 Fiscal Year Annual Research Report
景観遺伝学に基づく草地性昆虫類の生息地ネットワーク評価とその体系的保全研究
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15H04325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 直 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50182019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今藤 夏子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (10414369)
長谷川 雅美 東邦大学, 理学部, 教授 (40250162)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタ個体群 / 二次草地 / 分散 / 遺伝子流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 千葉県柏市・白井市・印西市の二次草地41ヶ所において、バッタ科昆虫の群集を対象に、その分布と個体群密度が、二次草地の局所要因(面積・草丈・被度)および景観要因(周辺の市街地面積・森林面積・草地面積)とどのような関係にあるかを調査した。その結果、各種への局所および景観要因の影響の有無とその方向性は種ごとに異なることが確認された。局所要因に関しては、草丈やイネ科被度の影響が確認され、景観要因に関しては、パッチ周辺の草地面積との間に正の関係が確認された。 2)ジャノメチョウについては89か所を対象に、分布に影響するパッチ面積、在パッチの連結性、草地景観の連結性、パッチの質を用いて解析した。その結果、ジャノメチョウの分布には現代の在パッチ間の連結性と過去のパッチ面積が強く影響していたが、パッチの質や過去の草地景観の連結性は大きな影響を持たないことが明らかとなった。これは、局所個体群の孤立化が進む中、移動分散による救済効果が絶滅の遅れを担保していることを示唆している。 4) 3)18地点で採集したジャノメチョウ計190個体についてDNAを抽出し、遺伝子解析を進めた。MIG-SeqによりSNPを探索した。シーケンスの結果、各サンプル平均25万リードについて解析した結果、SNPとして205座が得られた。さらに、低頻度で出現する対立遺伝子を除去することで、最終的にMAF(Minor Allele Frequency)1%基準で179座、MAF5%で102座、MAF10%で76座が残った。得られたSNP座について、予備的にSTRUCTURE等を用いた解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象種の分布要因の解析については順調に進んでいる。遺伝子解析については、一部の種でサンプリングがほぼ終わり、予備的な遺伝子解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
バッタ類については、まだ遺伝子解析用のサンプリングが十分に進んでいないため、計25か所の草地で最低5種、各20個体以上を目指す。また、バッタ類についてもMIG-SeqによりSNPを探索を行うとともに、取得データから予備的な景観遺伝解析を実施する。
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Research Products
(3 results)