2015 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌エフェクターによる新規標的タンパク質認識、感染機構の構造生物学的解析
Project/Area Number |
15H04341
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
水島 恒裕 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (90362269)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 細菌 / エフェクター / X線結晶構造解析 / 赤痢菌 / IpaH |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性細菌はエフェクターと呼ばれるタンパク質を宿主細胞に分泌し、宿主の持つ防御機構を妨げることで感染を拡大している。エフェクターは免疫系や細胞接着などに関連する宿主内タンパク質を標的として働いており、赤痢菌ではこれまでに48種類のエフェクターが報告されている。IpaHファミリーは赤痢菌に10種類存在するユビキチンリガーゼ活性を有するエフェクターであり、その一つIpaH9.8は宿主細胞の炎症性サイトカイン遺伝子の発現に必要な転写因子NF-κBの活性化に関わるNEMO(NF-kappa-B essential modulator)をユビキチン化修飾し、分解へと導く。IpaH9.8を介した感染機構解明を目指し、IpaH9.8の基質認識ドメインおよびNEMOのIpaH9.8との相互作用部位を含むドメインの結晶化を行い、それぞれの結晶よりX線回折データの収集に成功した。IpaH9.8基質認識ドメインは空間群P212121、C2221の2種類の結晶からそれぞれ分解能1.8Aと2.0Aで立体構造を決定した。しかし、NEMOは分解能が不十分であり、IpaH9.8との相互作用領域の構造は決定できなかった。IpaH9.8基質認識ドメインは8個のLeucin rich repat(LRR)から形成されており、立体構造既知のIpaH3との比較から、分子表面の電荷の違いにより基質認識特異性を獲得している可能性を示唆した。また、IpaH9.8 LRRの特徴的な分子表面形成に関与するアミノ酸残基変異体を作製し、NEMOとの相互作用解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤痢菌エフェクターであるIpaH9.8の基質認識ドメインの立体構造をX線結晶構造解析により決定し、特異的な基質認識に関する知見を得た。また、その成果を論文として報告した。 その他の赤痢菌エフェクターの発現、精製系を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
赤痢菌エフェクターによる宿主内標的タンパク質の認識機構はIpaH9.8やOspIの構造解析により計画通りに進行している。そのため、これらの研究を継続し、IpaHファミリータンパク質と標的タンパク質との複合体構造解析により、認識機構の解析を進める。また、新規エフェクターの基質の探索、構造解析を行う。 感染機構の解析では、全長でのIpaHファミリーのX線結晶構造解析と共にX線小角散乱による溶液構造の解析や物理化学、生化学的手法を用いた解析を行うことにより、病原細菌エフェクターの機能発現機構の解明を目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Structural Analysis of Reaction Mechanism of Shigella flexneri effector OspI2016
Author(s)
Nishide, A., Kim, M., Takagi, K., Sasakawa, C., Mizushima, T.
Organizer
The Annual Evaluation Conference of the Leading Program, University of Hyogo for the School Year of 2015
Place of Presentation
先端科学技術支援センター (兵庫・赤穂郡上郡町)
Year and Date
2016-03-14 – 2016-03-15
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