2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H04347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一次繊毛 / 細胞周期 / TTBK2 / NDR / TESK |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物細胞は細胞表面に非運動性の繊毛(一次繊毛)を持つ。一次繊毛は細胞外からの多様なシグナルを受容するアンテナとして、細胞の増殖・分化の制御や組織の形成・維持に重要な役割を担っており、その形成不全は嚢胞腎、網膜変性など繊毛病とよばれる疾患の原因となる。一次繊毛は細胞休止期に形成され、増殖期に崩壊することが知られているが、細胞周期依存的な一次繊毛の形成と崩壊の分子機構は未だ不明である。私達は、増殖抑制シグナルであるHippo経路の下流キナーゼNDRや、脊髄小脳変性症に関わるキナーゼTTBK2の繊毛形成における役割を明らかにしてきた。また、アクチン骨格の脱重合が一次繊毛形成を促進することも最近報告されている。本研究では、これらのキナーゼやアクチン骨格ダイナミクスの役割を中心に、細胞周期依存的な一次繊毛の形成と崩壊に関わるシグナル伝達経路を解明することを目的として研究を行った。本年度は、TTBK2がDNA損傷応答キナーゼATRによってリン酸化されること、ATR阻害剤によって一次繊毛形成が抑制されること、を見出した。また、TTBK2はCep164とDvlの解離を引き起こすことも見出した。また、インビトロキナーゼアッセイによってTTBK2の基質としてCP110, Cep97を同定したが、これらのタンパク質の母中心小体からの解離に対しては、TTBK2によるリン酸化だけでは十分ではないことを示す結果を得た。また、NDRキナーゼの活性化因子であるFurryがYAPのリン酸化と核移行を制御していることも明らかにした。アクチン脱重合阻害因子であるJasplakinolideが、予想に反して一次繊毛形成を促進することを明らかにした。この結果は、細胞の球状化による基質との結合の減弱によるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、TTBK2がATRによってリン酸化されること、ATR阻害剤によって一次繊毛形成が抑制されること、を見出した。また、TTBK2はCep164とDvlの結合解離を誘導することも見出した。また、NDRキナーゼの活性化因子であるFurryがYAPのリン酸化と核移行を制御していることも明らかにした。さらに、アクチン脱重合阻害剤Jasplakinolideによって一次繊毛形成が促進されることも見出した。これらの成果が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
TTBK2の活性化機構については、ATRによるTTBK2のリン酸化の細胞周期依存的な一次繊毛形成における役割について検討する。また、DvlのCep164からの解離については、その細胞周期依存性と一次繊毛形成における機能を解析する。NDRとFurryについては、YAPの不活性化と一次繊毛形成の相関を解析する。また、CP110の除去の分子機構についてさらに解析を進め、細胞周期依存的な一次繊毛形成機構を明らかにする。アクチンダイナミクスの変化による一次繊毛形成の制御機構については、Jasplakinolideの作用機構をさらに解明するとともに、アクチン脱重合によるYAPの不活性化と一次繊毛形成機構をさらに解析する。
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Research Products
(7 results)