2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04387
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 祐一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (80222264)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 窒素固定 / ニトロゲナーゼ / 光合成 / シアノバクテリア / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアLeptolyngbya boryanaは、嫌気環境下で窒素枯渇に応じて窒素固定を行うが、その際、光合成活性も維持され、光合成と窒素固定が両立している。初年度は、作物への窒素固定能移入の基盤確立を目指して、L. boryanaの窒素固定の解析などの研究を進め、以下のような研究実績をあげた。 1) L. boryanaの窒素固定遺伝子クラスターの機能解析により、内生の酸素発生をDCMUで停止させたときのみ野生株と同じレベルの活性を示す遺伝子欠損株を単離した。この遺伝子は、光合成による酸素からニトロゲナーゼを防御するシステムに関与していることが示唆される。 2) L. boryanaの窒素固定遺伝子群のマスターレギュレーターCnfRを欠損した株と野生株との転写物の違いをRNA-seqで検討した結果、窒素固定遺伝子クラスター外にコードされる一つの遺伝子の発現が著しく低下することを見出した。この遺伝子もニトロゲナーゼに関係する機能を有するかもしれないことから、今後この遺伝子の機能の確認を進める。 3) 非窒素固定性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803のゲノム中立部位に、L. boryanaの窒素固定遺伝子群(25遺伝子)とcnfR遺伝子を導入した形質転換体CN1株をを単離した。加えて、さらに1遺伝子を追加したCN2株、さらに3遺伝子を追加したCN3株も合わせて単離した。これらの形質転換体はいずれも有意な窒素固定的生育が見られなかったが、低いレベルながらも有意なニトロゲナーゼ活性(アセチレン還元活性)を検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
L. boryanaの窒素固定において酸素防御に関与すると推察される遺伝子を見出すことができた。また、RNA-seq解析により解析に供するべき新たな遺伝子を見出すことができた。さらに、当初の大きな目標である非窒素固定性シアノバクテリアへのニトロゲナーゼ活性の付与を実現できたことから、全体としておおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果を元に、窒素固定の酸素防御に関わる新しいタンパク質の同定を進める。非窒素固定性シアノバクテリアで検出されたニトロゲナーゼ活性をさらに向上させることで、窒素固定的生育能の付与を目指す。そのために、cnfRが認識するプロモーターの改変、酸素防御に関与する遺伝子の導入を試みる。併行して、ヒメツリガネゴケ葉緑体へのcnfRとnifプロモーターに連結したレポーター遺伝子を導入することで、これらの制御系が葉緑体で作動するかどうか検討を進める。
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[Journal Article] Transformation of the cyanobacterium Leptolyngbya boryana by electroporation.2015
Author(s)
Tsujimoto, R., Kotani, H., Nonaka, A., Miyahara, Y., Hiraide, Y. and Fujita, Y.
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Journal Title
Bio-protocol
Volume: 5
Pages: e1690
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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