2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04403
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
印南 秀樹 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (90444140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八島 亮子 武蔵野大学, 工学部, 助教 (90759573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゲノムの『脆弱部位』の存在意義に関する固定概念を覆すことを目的とする。脆弱部位は突然変異のホットスポットであるため、基本的には有害な物である。したがって、進化的に一時的に存在するだけで、すぐに淘汰され消滅するものであると考えられている。しかし本申請者は、脆弱部位が進化的に有益に働く局面が多々存在し、その有益性ために脆弱部位は進化的に驚くべき長時間、ゲノムに維持されると仮説を立てた。本申請者は、これを証明するに十分な理論的および実証結果を持っている(次項参照)。申請期間において、これをさらに確実なものとし、さらに発展させる。そして、新しい学説として学界に認識させることをゴールとする。 初年度は、植物のトランスポゾン、いもち病菌、マラリア原虫、バクテリアのゲノムデータ野収集と解析を行った。2年目となる本年度は、哺乳類の反復配列と、さらにはヒトのがん細胞を急遽研究対象に含めることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、植物のトランスポゾン、いもち病菌、マラリア原虫、バクテリアのゲノムデータ野収集と解析を行った。2年目となる本年度は、哺乳類の反復配列と、さらにはヒトのがん細胞を急遽研究対象に含めることにした。なぜなら、がんゲノムにも脆弱部位が多数存在し、その場所は既知の脆弱部位の多くとオーバーラップするという報告がある。がん細胞の進化は、全ての患者で独立で起こっている為、再現性の存在という意味で最高の研究対象であると言う認識を、新たに持つに至った。TCGAデータベースなどからがんゲノムデータをダウンロードし、次世代シークエンサのデータの編集を始めた。一方、理論的解析は最終年度以降に行なうこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、がんゲノムの脆弱部位の解析をメインにする。非常に競争の激しい分野である為、大部分のエフォートをがんゲノム解析に費やす予定である。データはTCGAデータベースなどからダウンロードしつつある。このデータは次世代シークエンサのデータによる短い(200bpくらい)配列データであるため、様々なバイオインフォーマティクスのツールを用いて、体細胞点変異塩基サイトの同定と、重複などによるコピー数変異の特定を急ぐ。その結果を、進化的な視点から解析する。余裕があれば、理論的な解析も行なう。
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Research Products
(4 results)