2015 Fiscal Year Annual Research Report
単純実験モデルを用いた宿主と寄生体の共進化シナリオの実験的再現と包括的理解
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15H04407
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市橋 伯一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20448096)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 進化 / 共進化 / 寄生体 / RNA複製 / 軍拡競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は試験管内でRNAとタンパク質から構築したRNA複製システムと、そこに自然発生する寄生体RNAを共進化させることで、宿主と寄生体の進化プロセスを理解することを目的としている。平成27年度は、共存状態の長期安定性を確かめるために先行研究からさらに長期間継代することを目指した。さらに平衡した進化実験を合計3系列行うことで、結果の再現性も評価できるようにすることを目標とした。
本年度は先行研究に加えて約50ラウンドの継代実験を行った。さらに独立した2系列でも同じラウンドまでの継代実験を行った。これにより当初の目的を達成し、共進化過程を再現性も含めて解析するための試料を得ることができた。
追加の継代の結果、これまで共存状態に達したと思われた宿主RNAと寄生体RNAが再び個体数振動を再開させることを見出した。この現象は3系列全てで観察されたため、偶然ではないと考えられる。またその振動ダイナミクスはこれまでにないくらい一定のパターンを繰り返していた。この一定のパターンを生み出した原因として、宿主と寄生体の進化が袋小路に行き着いて完全に止まった可能性がある。別の可能性として、複数の変異体が交互に集団を占めるような周期的なパターンに行き着いた可能性もある。今後の課題は配列を解析することでこのパターンを起こした変異と分子機構を明らかにすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定したいた平成27年度の目標は全て達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度に継代した宿主および寄生体RNAの配列解析を行い、どのように進化が起きたのかを明らかにする。
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Research Products
(9 results)