2017 Fiscal Year Annual Research Report
"雌"交尾器のペニス化をもたらした進化的背景の解明
Project/Area Number |
15H04409
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉澤 和徳 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (10322843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉冨 博之 愛媛大学, ミュージアム, 准教授 (10542665)
上村 佳孝 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (50366952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 性選択 / 交尾器進化 / チャタテムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
標本収集:国内でのフィールド調査により,より幅広い範囲のチャタテムシの形態解析用サンプルが得られた.ヒョウモンチョウ,マルハナノミのサンプリングも継続して行い,追加サンプルが得られた. 遺伝子解析:前年度解析したミトコンドリアゲノム情報に基づき,トリカヘチャタテの分子系統解析に必要な追加プライマーの設計を終え,データもほぼそろった.現在外群のデータを追加している状態である.予備解析ではトリカヘチャタテ内の系統関係の解像度も高く,また近縁な Afrotrogla, Sensitibilla, Spekeletor 属との系統関係に関しても良好な解析結果が得られている.トリカヘチャタテの親子判別,集団構造解析に必要なマイクロサテライトプライマーも完成し,それらを報告した論文が受理され,現在印刷中である. 形態解析:SPring8での追加の形態解析を行い,十分なデータを集めた.特に,トリカヘチャタテの精子貯蔵構造に興味深い発見があり,それらの解析をほぼ終え,論文の執筆を開始している段階にある.雌ペニスに関連した構造の解析も進めており,現在は比較に必要な雌ペニスを持たない通常のチャタテムシの交尾器の状態の解析を進めている.加えて,共焦点レーザー顕微鏡を用いた解析も進めており,これらの構造のタンパク質構成などについても解析を進めている. サブプロジェクト:プロジェクトを通して得られたトリカヘチャタテなどのサンプルを用いて,交尾器以外の形態の観察も行った.特に,前後翅を連結する構造の解析を行い,その結果を論文として出版した.この構造から,トリカヘチャタテの飛翔能力が弱いであろう事も傍証された. 受賞:本プロジェクトでイグ・ノーベル賞生物学賞を受賞した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリカヘチャタテの分子系統,親子判別,形態進化等,大目標に関しては期間内に全て論文化できる見通しが立った.行動観察については,現地協力者の協力が必要で,当初予定より遅れもあるが,研究の大目標達成にあたっては大きな支障ではない.ヒョウモンチョウの交尾器や交尾状態の観察も進んでいる.マルハナノミの飼育系統確立に関しては当初予定ほどうまくいっていないが,全く飼育実績のない分類群でもあり,その可能性も想定の範囲内である.野生状態での交尾ペアの採集で対処可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたるため,研究成果の公表に努める.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Mitochondrial phylogenomics and genome rearrangements in the barklice (Insecta: Psocodea).2018
Author(s)
Yoshizawa, K., Johnson, K. P., Sweet, A. D., Yao, I., Ferreira, R. L. & Cameron, S. L.
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Journal Title
Molecular Phylogenetics and Evolution
Volume: 119
Pages: 118-127
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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