2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04417
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00571788)
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 菌根 / 進化 / 共生 / 寄生 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は光合成を営む独立栄養植物から、光合成機能を失い共生菌から炭素を収奪する菌従属栄養植物への進化をもたらしたキー・イノベーションを解明することを目的とする。 本年度の研究では、ラン科サイハイランを用いて、独立栄養性とみなされる植物種の菌従属栄養性の発現と、菌従属栄養レベルと共生する菌種の相関を解析した結果がまとまった。全国17箇所の自生地でサイハイラン46個体を採集し、菌根菌のDNAを抽出し、核リボソームDNAのITS領域を増幅して菌根菌の分子同定を行った。さらに、植物体の炭素と窒素の安定同位体比を測定し、菌従属栄養レベルを評価した。その結果、担子菌門のロウタケ科、ツノタンシキン科、ナヨタケ科、ツラスネラ科が主要な菌根菌として同定され、それぞれ同定できたサンプルの24%、16%、13%、6%を占めた。また各個体のδ13C は-34.7~-27.4‰となり、1種の植物としては例外的に変異が大きかった。さらにナヨタケ科と共生する4個体ではすべて根茎の形成がみられ、菌従属栄養レベルが有意に高かった。したがってサイハイランの根茎は、ナヨタケ科と共生する際に誘導されるものと考えられた。サイハイランの姉妹群である菌従属栄養性のモイワランでは、常に発達した根茎に菌根が形成されることから、サイハイランにおいても根茎で大量の菌と共生することで、高い菌従属栄養性が発現すると考えられる。以上の結果からサイハイランでは特定の菌が器官形成を誘導することを介して、植物の従属栄養性に影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル収集、データの解析ともに予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は多くのサンプルを収集することができたので、今年度は実験とデータ処理により集約する。
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