2016 Fiscal Year Annual Research Report
不確定な環境での動的行動の最適化とゲーム理論への拡張
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15H04420
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉村 仁 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10291957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 英祐 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40301874)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動的行動 / 動的ゲーム理論 / 変動環境 / 動的最適化 / 存続システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2年目であるが、動的行動の理論を応用した動的ゲーム理論の研究を展開した。とくに、従来のタカハトゲームにおけるハト同士の均等配分が、動的ゲーム理論ではどうなるかを考察した論文を掲載した(Ito et al. 2016 PLoS ONE)。これは、従来のゲーム理論では均等分配という概念が論理的に間違っていることを示す論文で、効用(適応度)は保有資産により変わることを示している。従来のゲーム理論が、この論文により、擬似的な動的ゲームであることを示した。さらに、動的効用を使った動的ゲームでは、タカハトゲーム、雪かきゲームなどのチキンゲームにおいて、従来の静的ゲーム理論と最適性が異なり、貧乏な場合に普遍的に共同行動を示すことを証明した(Ito et al. 2017 ネイチャー系オンライン姉妹誌であるScientific Reports掲載)。これは、従来の静的なゲーム理論では説明できなかった人間に普遍的に見られる共同・協力行動を説明する重要な理論的証明である。また、実証研究では、アリマキの緑と赤のカラータイプの多型が随伴するアリにより維持されていることを見出した(Watanabe et al. 2016, Science誌のはじめたオンラインジャーナルのScience Advancesに掲載)。その他、群集での樹木の共存・存続による多様性の維持、多胚発生寄生蜂における相補メカニズムによる存続システム、クラゲの肢の開度の最適性、巻貝の形の最適性など合計11報(IF合計で35以上、上述Scientific Reports誌5報、サイエンス誌の新しいオンライン姉妹誌であるScience Advances誌1報を含む)の論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の理論の中心的な目的である動的ゲーム理論の論文を2通(1通はネイチャー系オンライン姉妹誌であるScientific Reports掲載、残る1通は国際的オンライン誌PLoS ONEに掲載)されたこと。また、存続システムとして、アリマキの色多型が随伴するアリ(共生)による積極的維持が関与していることを発見してサイエンス誌の新しいオンライン姉妹誌であるScience Advances誌に発表や、その他専門誌を含めて、合計11報(IF合計で35以上)を掲載できたことは、数年分の業績といえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に発表した動的ゲーム理論をさらに多くの分野へ展開・応用して、その結果の論文の投稿を模索する。また、動的効用関数の経済行動(ポートフォリオなど経営科学およびミクロ経済学)への応用を検討する。実証研究では、アリマキやアリ・シロアリなどの社会性昆虫での行動動態の最適化がコロニー存続へどのような貢献をするかを検討する。さらに、変動環境における存続システムとしての生物を考えて、動物や昆虫だけでなく、植物も含めて、生長・繁殖戦略がどのように最適化されるかを検討様々な分野、様々なトピックで、動的最適化の適用を試みる。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] A GIS-based map of periodical cicada Brood XIII in 2007, with notes on adjacent populations of Broods III and X (Hemiptera: Magicicada spp.).2016
Author(s)
Cooley, J. R., G. Kritsky, D. C. Marshall, K. B. R. Hill, G. J. Bunker, M. L. Neckermann, J. Yoshimura, J. E. Cooley, and C. Simon
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Journal Title
The American Entomologist
Volume: 62
Pages: 241-246
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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