2015 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア島嶼の植物多様性の起源と維持:群集形成プロセスの階層的作用機構を探る
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15H04424
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 教授 (50295234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 肇一 統計数理研究所, データ科学研究系, 外来研究員(JSPS特別研究員) (30708798)
楠本 聞太郎 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (90748104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物多様性 / 群集生態学 / 古生態学 / ガンマ多様性 / ベータ多様性 / アルファ多様性 / 生物多様性の緯度勾配 / 生物多様性の標高勾配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本を中心とした東アジア島嶼の維管束植物相をモデルシステムとし、生物多様性パターンの起源と維持のメカニズムを分析している。昨年度は、1)全球スケールの樹木種群集データを用いた系統的多様性の大陸間比較、2)樹木種化石データを用いた東アジア島嶼フロラの歴史的遺存プロセスの分析、3)野外調査に基づく東アジア島嶼の緯度・標高勾配における植物群集の形成機構の分析を行った。4)日本産植物多様性を指標としたシステム化保全計画に関する分析。1)については、樹木種組成データに対応したメガ系統樹を構築し、各大陸における樹木群集の、種多様度、平均系統齢、系統的均等度、系統的クラスタリングの指標を計算し、系統的クラスタリングを指標にした特定系統の種のソーテイングを明らかにした。この結果は、国際雑誌に投稿中で現在査読中である。2)については、被子植物樹木の化石データを網羅的に収集し、新生代を通した属レベル多様性の緯度勾配の歴史的変動を解明した。この結果は国際ワークシップで発表し、国際雑誌に投稿中で現在査読中である。3)については、日本列島の緯度勾配上において主要な山岳を選択し、各山岳の標高勾配で植物群集のサンプリング調査を行った。今年度も野外調査を行ってデータを補完して最終的なデータ解析を行い、論文結果をまとめる予定である。4)については、植物多様性を指標とし、生物多様性を効率的に保全するための保全計画を分析した。現状の日本の保護区配置を分析した結果を論文にまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、研究代表者が熊本地震で被災したため、予定していたポスドク研究員を雇用することができず、予算の使用計画を変更した。これに伴い、研究計画を若干変更し、次年度以降に行う予定であって既存データ(化石情報)を用いたサブテーマを繰り上げて行った。これにより、当初計画していた野外調査、既存データを用いたデータ解析、および論文作成を、全体としては遅滞することなく進めることができた。今後、計画通りに論文を発表できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、ポスドク雇用が遅れたので、野外調査計画を若干変更し、次年度以降に行う予定だった既存データを用いたサブテーマを繰り上げて行った。なお、この成果は論文としてまとめ現在投稿審査中で、今年度中に受理させるよう努力する。このような研究計画の年度間の入れ替えれにより、既存データ解析を繰り上げて行うことで、研究全体が遅延することがないようにした。今後も、サブテーマの取り組み計画を、状況に応じて柔軟に変更することで、当初に計画した論文発表を滞り無く行うようにする。
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Research Products
(3 results)