2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトはなぜ二足で歩けるのか?哺乳類モデルから探る二足歩行の戦略とその進化
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15H04428
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平崎 鋭矢 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70252567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 直己 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (20210982)
森 大志 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (50301726)
中陦 克己 近畿大学, 医学部, 講師 (60270485)
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70324605)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体機構 / ロコモーション / 霊長類 / 筋電図 / 運動解析 / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度開始した実験を継続した。具体的には、(1)運動レベルでの分析を主に京都大と慶応義塾大で、(2)筋活動レベルでの分析を近畿大と山口大で、(3)神経レベルでの分析を主に近畿大で行った。 (1)については、京都大で飼養するニホンザルを用いて、通常の四足歩行と二足歩行時の、身体各部の動きをビデオ映像を用いて分析した。同時に床反力の計測も行った。得られたニホンザルの二足歩行のスティフネスデータを、ヒトの二足歩行・走行・Grounded Running(両脚支持期があるにもかかわらず力学的には走行である移動様式)のそれと対比したところ、ニホンザルの二足歩行は、ヒトに見られる倒立振子メカニクスを活用した二足歩行ではなく、Grounded Runningと似ていた。ニホンザルの脚筋骨格構造はヒトと比較して相対的に柔らかく、立脚期時間が構造的に増大しやすいため、ヒトのような倒立振子メカニクスに基づく二足歩行を行うことができないことが示唆された。(2)については、近畿大で飼養するニホンザルの体幹および四肢の活動を調べた。その結果、二足歩行時では四足時に比べて多くの筋で活動の振幅が増大し活動時間が延長することが明らかになった。(3)の神経活動レベルでの歩行解析では、近畿大で飼養するニホンザル被験体の運動野、補足運動野から、歩行時の神経細胞外活動を導出し記録した。その結果、二足歩行においてサルの中枢神経系は、動的体幹姿勢と律動的下肢運動を統合することによって歩容の安定性を担保することが示唆された。また、ラットについては、二足歩行のトレーニングによって大脳皮質の層構造に変化が確認された。皮質脊髄路の機能の変化に対応していることが示唆された。 28度に得られた研究成果の一部は、関連学会での発表や論文の執筆を通じて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度は、交付額が申請額の6割であったため、当初予定していた機器の購入ができず、計画に遅れが生じた。28年度は修正後の計画に従って、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に行った研究を継続し、データ数を増やす。期間後半からは、得られた成果を持ち寄り、各レベルにおける「二足戦略」について解明を目指す。筋や骨の形態、および脳の形態についても検討を行い、運動データや神経活動データとの対応を見る。さらに、各レベルでの「戦略」が他のレベルでの活動とどのように関連するかについて、学会発表等に対する他研究者の批判やコメントも参考にしつつ検討する。
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Research Products
(30 results)