2015 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥回避に寄与するイネ根系の表現型可塑性をもたらすエピジェネティック制御
Project/Area Number |
15H04435
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育協力研究センター, 准教授 (20377790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 実鈴 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20738091)
兒島 孝明 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (40509080)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物遺伝育種学 / ストレス / エピジェネティクス / イネ / 根系形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネの耐乾性を高める上では、側根と呼ばれる分枝根の発達を促すことが有効であり、これは側根のメルステムサイズの増大により可能となる。本研究は、イネの側根メリステムサイズのエピジェネティック制御機構を明らかにし、根系形態改良に向けた育種基盤の確立を目指す。本年度は主に、ストレス応答時における側根メリステムサイズのエピジェネティック制御に関わる制御因子群の同定に向け、ChIP-Seq、およびRNA-Seq解析の予備試験を行った。 まず、浸透圧ストレスの有無により栽培したイネ幼植物の根をサンプリングし、ホルムアルデヒドによるDNA-タンパク質の華僑、超音波によるDNAの断片化、および対象とするヒストン修飾抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、標的DNA断片を精製した。同様に、根からRNAも抽出し、精製した。その後、これらのDNA、およびRNAを対象に次世代シーケンサーにより塩基配列を決定し、イネのリファレンスゲノム上にマッピングした。本年度はこれらを繰り返し行うことにより、本解析の条件を確定するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本年度はストレス応答時における側根メリステムサイズのエピジェネティック制御に関わる制御因子群の同定に向け、ChIP-Seq、およびRNA-Seq解析の条件を確定するに至った。本研究課題において、研究スタート時から直ぐに超音波ホモジェナイザーやマイクロ高速冷却遠心機といった備品を揃えることができ、機器が制限要因となることなしに順調に解析を進められた。また、実験系の確立、および得られたデータの解析も、共同研究者の高橋、および兒島により迅速、かつ適切に進めることが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ChIP-Seq、およびRNA-Seq解析を駆使し、ストレス応答時における側根メルステムサイズのエピジェネティック制御に関わる制御因子群の同定を目指す。これにより候補とあがった因子群を対象に、in situ hybridization、プロモーターGUS解析等により、側根形成部位での発現パターンを解析する。その際、ストレス処理による発現性の変化についても詳細に捉える。また過剰発現体を作出するとともに、標的とする遺伝子のDNA配列を改変できるゲノム編集技術により候補因子群のノックアウト系統を作出する。次に、これらの各候補因子の機能欠損による側根メリステムサイズへの影響を、イネの側根原基を構成する各組織特異的分子マーカーを用いることで精査する。以上より、根系形態改良上の有用候補因子を明らかにする。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Developmental and functional responses of rice root system to soil water and nutrient conditions2015
Author(s)
Yoshiaki Inukai, Misuzu Takahashi-Nosaka, Cornelius M. Wainaina, Akihide Shibata, Nonawin B. Lucob, Hiroki Inahashi, Mana. Kano-Nakata, Emi Kameoka, Roel R. Suralta, Jonathan M. Niones, Thiem T. Tran, Stella O. Nketia, Israt J. Shelley, Yuka Kitomi, Satomi Ohashi, Shunsaku Nishiuchi, Hidemi Kitano and Akira Yamauchi
Organizer
9th Symposium for International Society of Root Research
Place of Presentation
Canberra, Australia
Year and Date
2015-10-06 – 2015-10-09
Int'l Joint Research / Invited
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