2015 Fiscal Year Annual Research Report
コムギ倍数化:2n配偶子の合体によるF1雑種ゲノム倍加の遺伝機構の解明
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15H04439
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80264688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分離集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、倍数種形成を導く「F1雑種ゲノム倍加」の遺伝機構を解明し、この現象がイネ科植物でどのように進化してきたのかを明らかとすることを目的とする。具体的には、まず、イネ科の代表的な倍数種であるコムギをモデルとして、申請者が開発した「進化を再現する」交配実験系を用いてQTL解析を行い、コムギ全ゲノム配列情報と合わせて、F1雑種ゲノム倍加を引き起こす主動遺伝子を同定する。次いで、同定された遺伝子の塩基配列を多数の植物種間で比較し、その構造変化パターンを解析することで、F1雑種ゲノム倍加がなぜイネ科で起きるようになったのかを解明する。これらにより、倍数化によるイネ科植物の多様化メカニズムついての新知見を得ること目指す。 本年度は、F1雑種ゲノム倍加を引き起こす主動遺伝子のQTL解析の材料となる分離集団とその親系統の種子を12月に播種し、非加温温室にて育成した。播種した544粒の分離集団種子のうち397粒が発芽し(発芽率72.9%)、順調に生長した。そして、予備実験により、分離集団個体からDNAを効率良く抽出する手法を確立し、個体別に採取した葉を材料として、QTL解析用のDNA抽出作業を開始した。さらに、減数分裂比較解析の準備として、分離集団の親系統から花粉母細胞を多量に採取し、保存した。また、次年度実施するQTL解析で使用する次世代機器から得られる大量のデータを扱うためのソフトウエアを導入し、コムギゲノムデータの収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、来年度実施するQTL解析の準備に主力を傾注し、概ね完了することができた。当初の計画のうち、DNA抽出は、年度内に終える計画であった。しかし、予備実験に予想以上に時間を要したため、これを完了できなかった。しかし、採取した葉サンプルを用いて新年度の早い時期に作業進め、分離集団個体の遺伝子型解析に進むことができる。このため、全体として「概ね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA抽出を完了し、分離集団個体の遺伝子型解析を実施する。また、分離集団個体の着粒率を調査し、QTL解析に供する表現型データを収集する。そして、遺伝子型データと表現型データを用いてQTL解析を行い、F1雑種ゲノム倍加を引き起こす主動遺伝子をコムギゲノム上にマッピングする。現在のところ、特記すべき計画の変更はない。
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Research Products
(1 results)