2017 Fiscal Year Annual Research Report
High temperature resistance of the grain-filling depending on low grain growth rate and high assimilation in rice
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15H04444
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60186723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氏家 和広 島根大学, 生物資源科学部, 特任助教 (60465276)
三ツ井 敏明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70183960)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 高温 / 収量 / 品質 / 子実成長速度 / 同化 / 酵素活性 / 品種間差 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の夏季の高温化はイネの品質を低下させ更に温度上昇が続くと減収をもたらすと予測されている。このような高温の影響を回避するための栽培方法による対応には限界があるため高温耐性を有した品種の育成が望まれる。しかし、どのようなイネの性質が高温による収量や品質の低下を防ぐのかは十分明らかになっていない。 申請者はイネの収量や品質の低下が主に高温による子実の成長速度の促進が同化生産を上回るためであることを明らかにしてきた。そのため、子実成長が高温によって促進されないことと同化が確保されることが高温耐性をもたらすと言う仮説が立てられた。そこで、幅広い遺伝的背景を有する日本のイネのコアコレクション品種について申請者らが開発した子実の最大生長期間における穂培養法による選抜を行い、幅広い穂培養の温度条件下で対照品種のコシヒカリよりも子実成長が高い品種と低い品種が見出された。そして、これらの対照的な品種をポット栽培および水田栽培して高温下での十分同化生産がなされた時の子実成長速度が異なるのかどうかを検証した。ポットにおいては穂培養で低い子実成長速度を示した品種は高い成長速度を示した品種よりも登熟期を通して低い値を示した。但し、水田においては温度条件などの設定が十分厳密に行えなかったために明確な違いが見られなかった。さらに、これらの結果を検証する必要があった。また、穂培養法で選抜された品種について高温条件下での穂サンプルについてメタボローム解析を行い充填速度とスクロースシンターゼ活性の間に相関があるのではないかとみられたため、更に詳しい解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子実成長の高い時期の穂培養によって日本のイネコアコレクションにおける高温下での子実成長速度の品種間差があり、それらが幅広い温度域で成立すること、それらにはいくつかのデンプン合成酵素の活性の違いが関与している可能性があることが分かった。更に、保存されたサンプルを用いて詳しい解析を進める必要がある。そして、研究分担者との結果の意見交換と検討が必要である。また、登熟期全般の高温が品種間差を反映している可能性があることがポット実験で示唆された。ただし、群落圃場条件での実証は十分でなく今年度の更なる検証が必要である。このことから、当初の品種間差の穂培養法による検出が行われ、子実成長速度が異なることと関連すると推定される生化学的機構と圃場での実証研究の展開できるまでに到達したためおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
穂培養法で選抜された高温下で得られた他の品種についてメタボローム解析等を行い品種間差の生化学的背景をより明確にするとともに、高温による個体および群落条件下での収量と品質の品種間差の再現性を調べること、これらの成果を取りまとめることを目的とする。
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Research Products
(3 results)