2016 Fiscal Year Annual Research Report
タバコモザイクウイルスRNA複製複合体前駆複合体の解析
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15H04460
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石川 雅之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 植物・微生物機能利用研究領域, ユニット長 (70192482)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウイルス / 複製 / RNA / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱液胞化タバコプロトプラスト抽出液(BYL)から遠心により生体膜を除去し、これを用いてTMV RNAを翻訳すると、130K複製タンパク質が合成される。このとき130Kタンパク質は、翻訳と共役してゲノムRNAの5'非翻訳領域を含む約70ヌクレオチドの領域に結合し、非膜結合性複合体 (pre-membrane-targeting complex: PMTC) を形成する。PMTCは複製複合体の前駆複合体と考えられる。我々は、先に、130Kタンパク質のMetIR断片(約70 kDa)が、翻訳とは独立してTMV RNAの当該領域に結合することを見いだした。H28年度の研究により、MetIR断片はAとCに富む70ヌクレオチド以上の長さの標的RNAに結合し、blue native PAGEにより区別可能な2種の複合体を形成すること、そのうち質量約1 MDaと見積もられる複合体は複数のMetIR分子を含み、安定である(一旦形成されるとMetIR分子の交換がほとんど起こらない)ことを明らかにした。タグ融合MetIR断片を標的RNAと混合したあと、タグによりアフィニティー精製した画分を透過型電子顕微鏡で観察することにより、いくつかの特徴的なネガティブ染色像を得た。以上の結果から、MetIR断片が形成した1 MDa複合体のより詳細な解析が可能であることが示唆された。さらに、5'非翻訳領域を複製タンパク質コード領域の下流に移し、代わりにジャガイモXウイルスRNAの5'非翻訳領域配列を挿入したTMV RNA誘導体を、BYLを用いて翻訳しRNA合成基質を添加したが、マイナス鎖RNAの生成はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した実験を行い、結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
MetIR断片と標的RNAの1 MDa複合体が安定であることが判明したので、これを各種クロマトグラフィー等により精製し、その形態を電子顕微鏡観察により解析するとともに、精製画分に宿主タンパク質が含まれないかを調べる。
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Research Products
(1 results)